プロローグ

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※ 大知が受け持つクラスは6年2組。新任の先生が進学を控えた最高学年を受け持つのは異例の事だった。その6年2組には雛川琴子の他に、目立つ生徒が2人いた。1人目は葉風爽太(はかぜそうた)。その特異な点は、始業式に行われた体力テストで明らかになった。 「ハカセのタイム、6秒!」  興奮して叫んだのは50m走の記録係をやっていたクラスの男子生徒だった。「すげぇ」と周りから驚きの声が上がる。 「はかせって?」  大知が隣に立つ記録係の佐藤に聞けば、佐藤は得意げに答えてくれた。 「名前が葉風だからハカセってみんなに呼ばれてるんだよ」 「へぇ…ハカセ…あの絆創膏をたくさん貼ってる子かな?」   大知がコースを走り終わり、みんなの所に戻る生徒2人の内の1人を見れば、佐藤は首を横に振った。 「違うよ、あの子は東宮(とうぐう)。ハカセはあの眼鏡をかけてる方だよ」
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