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爽太が急いで振り向くと、ちょうど資料室の扉の前で龍太郎が転んで起き上がっている所だった。立てた膝には絆創膏が貼られていて、その横に新しい傷が出来ていた。
「…いつものことだから」
そう言って慌てる琴子を宥めた龍太郎は、ポケットから絆創膏を取り出した。5つ繋がっている絆創膏を1枚引き離すと、慣れた手つきで封を開けて傷口に貼っていく。
「本当に…慣れてるんだね」
「…良く転ぶから」
琴子が驚嘆の声を上げても、龍太郎は嬉しくなさそうにそっぽを向いた。爽太が改めて龍太郎を見てみれば、半袖短パンから除く手足には何十枚もの絆創膏や傷跡がついている。これだけ怪我をしていれば確かに絆創膏を貼るのも上手くなるだろう。そこでふと爽太は、ならば何故いつも半袖短パンなのだろうと思った。これだけ怪我が多いのなら長袖や長いズボンを履いた方が転んだ時にできる傷も軽くなるのではないだろうか、と。
「龍太郎はなんで長袖とか着ないの?」
「…え?」
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