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爽太があっと思った時には疑問が口から出た後だった。龍太郎は眉を曇らせる。口を少しだけ開いて、閉じて。なんて言えばいいのかわからないように見えた。龍太郎の様子を見て、爽太は自分がしてはいけない質問をしてしまったのだと後悔した。誰にだって聞いて欲しくないことがある。もちろん爽太にも。爽太は何か声を掛けなければと、龍太郎と琴子のもとに駆け寄った。
―ガラッ。
「え、うわっ!」
爽太が2人のもとに駆け寄ったのと同時に、すぐ横にあった資料室の扉が開いた。続いて出てくる人影に爽太は勢いよくぶつかり、眼鏡が吹っ飛んでしまった。
「いたた…」
「葉風くん大丈夫かい?」
爽太は廊下に尻餅を着いた状態で、ぶつかった人物、教頭を見上げた。両手で資料を抱えた教頭は心配そうに爽太を見下ろしている。爽太は自分の顔を触り、いつもしている眼鏡が定位置に無い事に気づいた。はっとして辺りを見回すが、眼鏡を見つけることができない。
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