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佐藤に言われてもう1人の眼鏡の少年に目を向ければ、その少年…ハカセと目が合う。ニコっと笑うハカセに大知は笑顔を返した。黒髪の短髪、緑のフレームのサブカル眼鏡をかけた少年はとても運動が得意のようには見えない。が、その時、校庭の別の場所で行われていたソフトボール投げのボールがハカセ目がけて飛んできた。
「危ない!」
大知が慌てて向かおうとするが、投げられたボールはすごい速さでハカセの顔面に突っ込む。遅かった、大知がそう思ったのも一瞬だった。
「先生、ハカセは大丈夫だよ、ほら」
佐藤の言葉を信じてハカセを見れば、顔面すれすれのところでボールを掴んでいた。
「いくよー」
間延びした声でそう言うとハカセは華麗なホームでソフトボールを投げ返し、ワンバウンドも着くことなく、しかも相手より遥か遠くに投げ返していた。
「嘘だろ…」
茫然とする大知に、佐藤はニコリと笑った。
「ハカセの運動能力は学校一だから」
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