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※
「よーし、図書室に行くぞー!」
放課後になると、爽太はランドセルを背負って勢いよく龍太郎の肩を叩いた。
「…ハカセ、痛い」
「ごめん、ごめん!」
文句を言えば流すように謝られる。本当に悪いと思っているのかと爽太を見るが、彼はもう琴子の方に走って向かっていた。バシン、と大きな音をたてて琴子の肩を叩けば、琴子は大きな瞳を細めて爽太に文句を言っていた。
「ハカセ、いきなり叩かないでよ」
「ごめん、ごめん!」
「それ悪いと思ってないじゃん!」
「…2人とも、落ち着いて」
「だって!」
と、琴子は言いかけてようやく周りの様子に気が付いたらしい。帰りの会が終わってすぐの教室にはまだたくさんのクラスメイトが残っていた。突然始まった騒ぎに、冷たい視線が注がれている。
「どうしたの?琴子急に黙って」
それでも異様な空気に気づかない爽太は大声で話す。クラスメイトからの視線は更に冷たくなり、教室内の温度が下がったように感じた。
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