【 プロローグ: 初恋 】

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【 プロローグ: 初恋 】

 その恋がスタートしたのは、17歳の夏だった。  同じ卓球部の1つ年上の先輩。  それが、私の初めての彼。  卓球の上手かった先輩は、女子部員にもやさしく指導してくれた。  栗色の少し長い前髪から滴る汗が、その時の私にはとても輝いて見えた。  試合中に見せる、笑った時のアヒル口がすごく素敵だった。  女子が皆憧れる先輩だったと思う。  私も例外じゃなく……。  そんな先輩に声を掛けられ、舞い上がっていたんだ。  あの夏、先輩の家で、私は初めて大人の階段を一つ上った。
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