トライアングル・ライツ

16/16
27人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
……つくづく世話が焼けるよな、俺達って。  色んな想いが混じり合って、両目に熱いものが込み上げてきて溢れ出す。そして自然と零れた。ぼやけた視界に夜の灯が映り込んで涙のレンズに反射した。生きづらい世界を照らす——きっとそれが俺の今やるべきことだ。 「なあ恭介。いい加減、自分に自信持てよ。愛奈が結婚の相手に選んだのは俺じゃない、お前なんだよ。お前自身が乗り越えなきゃダメなんだよ!」  俺の想いは届いただろうか——恭介は顔を歪ませ、地面に倒れたまま腕で顔を覆うと肩を震わせ「ごめん、本当にごめん」と何度も呟いた。  ふっと力が抜け、そのまま夜空を見上げた。地元のように満天の星空は見えない街。だけどその代わりに煌々燦爛と夜空を照らす東京タワーが俺達の行く末をそっと見守ってくれているような気がした。 もう大丈夫、愛奈を頼むぜ、親友。 だから「おい、恭介」と声をかけ、そして—— 「腹減ったろ。せっかく東京に来たんだ、今夜は盛大に祝ってやるよ」 と、気の抜けた笑顔を向けて、俺は心から二人の幸せな未来を願った。 完
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!