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「あれ? どこにいった?」
ひとり暮らしで、ここ数ヶ月誰も入れた覚えのないアパートで事件は起こった。
冷蔵庫の中から、6日前に買ったはずの新品マヨネーズがなくなっている。
「なぜだ、どこいった?」
考えられるケースは2つ。
1つは、泥棒!
誰も入れた覚えはないが、勝手に入ってきていたなら話は別だ。チェックしようがない。
監視カメラもなければ、部屋に入った人数を把握する整理券のようなものもない。
もう1つは、マヨネーズ星人!
スーパーでマヨネーズを購入したつもりだったが、もしかしたら何かの手違いでマヨネーズ星からやってきたマヨネーズ星人を購入していたのかもしれない。マヨネーズ星人は足が生えてるからその足で逃げちゃったか。
「……」
まずは、泥棒だった場合で考えてみよう。基本施錠は怠らないのだが、1日だけ帰宅すると鍵が開いていたことがあった。それは僕が単に鍵をかけ忘れたのか、それともプロ窃盗犯によって、ピッキングされ開けられたのか。原因は何か分からないにせよ、開いていたのは事実。誰でも部屋を出入りできる状態にあったのだ。
しかし、泥棒だとすると仕事が小さすぎやしないか? わざわざ泥棒に入ったというのに盗品がマヨネーズだけ。 あまりにも間抜けすぎやしないか? 泥棒が生粋のマヨラーの可能性もあるが、マヨラーは、自分専用のマヨネーズを常にカバンに入れて持ち歩いているはずだろうし。
それに泥棒が入ったのなら、部屋が荒らされ散らかっていてもおかしくないのに、逆にどことなく部屋が綺麗になってたような気がした。
となれば、泥棒の可能性は薄い。
次は、マヨネーズ星人の可能性で考えてみよう。僕がマヨネーズとマヨネーズ星人を買い間違える確率は70000分の1の確率。塩と砂糖を間違える確率よりも低い。そんな確率を引けるだろうか? そんな確率を簡単に引けるほどの運の持ち主なら今ごろ僕は宝くじでも当てて、大金持ちになれるだろう。ギャンブルって、確率ってそんなに甘いものじゃない。それに、マヨネーズ星人が逃げたにしては遅すぎる。買って6日も経っている。
正直、いつなくなったかは覚えてないが、買った次の日にはあったはず。逃げ出すならすぐに逃げ出すだろう。
「……じゃあ、どこにいったんだ?」
「どこか、変な場所に置いたのか? どこだ、それともマヨネーズを買ったのは夢の中で、現実には買っていないとか?」
そう言いながらマヨネーズを探していると、僕の電話がなった。
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