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「もしもし、和洋」
電話の主は母だった。
「何、僕は今、マヨネーズを探していてめちゃくちゃ忙しいんだけど急用?」
「いや~ああ、それそれそれよ」
「こないだ、あんたの住んでるアパートに行って掃除をしてきたのよ。あんた馬鹿だから気付かないと思うけど。その時にね、あんたの冷蔵庫の中に入っていたマヨネーズを間違えて持ってきちゃったのよ。ごめんなさいね、ただそれだけだから、忙しいなら切るわね。じゃあね」
「……」
母がマヨネーズを持って帰っていた?
どうりで、見つからないはずだ。
マヨネーズは母が間違えて持って帰っていたようだ。そりゃこの部屋をいくら探してもないはずだ。
「あーそういうことか、よかったよかった」
悪霊や死神の可能性もあるなと思っていたから、母でよかったし、ホッとした。
マヨネーズが、実家の冷蔵庫で気持ちよさそうに冷やされていることを思うと、なんだか僕まで嬉しい気持ちになった。
「ホント、めでたし、めでたし」
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