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仙台三越を出てから、都会に浮かぶ湖のような欅並木に覆われた定禅寺通りの中央分離帯にある遊歩道を歩いた。欅の一本一本はとても逞しく、暗灰色の太い幹から分かれた枝々に茂る豊潤で濃密な葉叢は、おおかたの雨もふせいでくれる。
欅の葉叢が風に揺れた。欅たちが何か囁いているように錯覚する。いつもここに来ると、日常生活の煩わしさや辛さを忘れさせてくれる何かがある。もしかしたら双子のもうひとりの兄弟にも、こんな場所で会えるのではないかと思った。きっと兄弟も欅たちの囁きに耳を澄ませたいと願うだろう……
しかしママは、双子の兄弟について詳しいことを教えてくれたことはなかった。
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