プロローグ

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 いかつい感じの戦闘機と違って、ブルー・インパルスの飛行機はイルカみたいで可愛らしい。そして、5機がピッタリと並んで宙返りしたり、バラバラになったかと思うと星の形を描いたりする。すごいチームワーク、と思った。こんなことができるんだ、と。 「ひかる、次の演目は面白いぞ」  耳に挿したイヤホンを押さえながら、お父さんが言った。お父さんは航空無線が聞ける携帯型の受信機を持っていて、それでブルー・インパルスと管制塔の通信を聞いていたのだ。そしてその数秒後に行われた演目が、「バーティカル・キューピッド」だった。私のハートもすっかり射貫かれてしまった。  あんな風に空を自由に飛べたら楽しいだろうな。それは、後に私の人生を大きく変えることになる、強烈な印象だった。 ---
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