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大学四年になっても、私は普通に就活する気になれなかった。自分のやりたいことを探したのだが、見つけられなかったのだ。
いや、本当はとっくに見つかっていたのかもしれない。
子供の頃に見た、ブルー・インパルスの曲技飛行。あれ以来、私の中には漠然とした空への憧れがあった。パイロットになりたい。でも、その願いが叶う可能性は低いだろう。それも十分分かってる。
だけど……このまま何もしないでいるのも嫌だ。ダメもとで、やってみるか。
というわけで、私は航空自衛隊の飛行要員試験を受けた。落ちたら素直にあきらめるつもりだった。
ところが。
なんと、私は見事に合格してしまったのだ。そのまま入隊した私は、訓練に次ぐ訓練の日々を過ごすことになった。
だが、やはりパイロットの道は厳しかった。初期の操縦過程で私には適性がないとして、配置転換されてしまった。しかし、パイロットの道を閉ざされた私に、航空救難団の機上無線員(RO)を目指さないか、という話が舞い込んできたのだ。
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