タイタンにて

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「で、何が分かった? Dr.リー」  宇宙服のヘルメットを外しただけのヨアキムは、宇宙船の一室でコンピュータを前にして考え込む女性に声をかけた。 「それが……ボイジャー七号は私たちが与えた初期プログラムの一部を、自分で書き換えちゃってるのよ」  Dr.リーが目の前のモニタに映る文字列をペンでなぞりながら言った。 「そんなことできるのか? 例えアレが自己改変型のAIだったとしても」  ヨアキムがそのモニタに目を凝らす。 「本当なら、どんなに改変しても、最初の重み付けは変更されないようになってるはずなんだけど、ボイジャー七号はそれを少しだけ変更しているわ」 「だからアレは、異常な行動を?」 「そう、ボイジャー七号は私たちの与えたものじゃない、自分自身で見つけた目的に従って行動してる」 「ーっ。直すのは」 「一度初期化しないといけないかもしれない。でも、そんな事する機材も時間をかけられるだけの資源も持ってきてない」 「じゃあどうする? このままアレを連れ帰ることもできんぞ?」 「うん。取れる手は一つね」  Dr.リーはどこか楽しそうだとヨアキムは思った。 「どうするんだ?」 「時間いっぱいまで、私たちで説得する!」
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