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「だから、これはずっと着けてるよ」
俺が、百合の紋章をずっと着けてるから、か。
お揃い好きなこいつらしい。
……いやいやいや、でも。
「その出来だぞ?」
作りは荒いし、修正しきれなかった失敗もあるし、そんなに大事にしてもらえるような代物じゃねぇ。
「夕は作ったからそう見えるのかな。俺には、カッコよく見えるんだ」
「マジかよ」
「マジで」
宵闇はチェーンを両手で持って、頭から通して首にかける。
「ここから、24時間一緒だよ」
「……いいのかよ」
俺の頬を軽くつまんで、ヤツは笑う。
「良くない理由なんかないだろ?」
俺にそう問いかけて、続けた。
「そんなしょんぼりしなくていいよ。似合うだろ?」
改めて、ネックレスをかけた宵闇を見る。
さっきまでガキの手遊びに見えてたフェニックスが、ヤツの胸元で不思議にしっくりとおさまってる。
まるで、巣に戻って安堵してるみてぇに。
俺は頷く。
「……良かった、似合って」
「な? だから、ありがとう。死ぬまで大事にする」
「いや、流石にいつかリベンジさせてくれ」
それはそれとして、もうちょっとこう、見栄えするもんをな。
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