ぶきっちょDearest

14/16
前へ
/16ページ
次へ
「じゃあ、それは別のアイテムで頼むよ」 「ネックレスは」 「お前が、初めてなのに頑張ってくれたんだ。これは一生の記念」 「……ありがとな。ほっとした」  笑われるか、呆れられるか。それしかねぇって思ってた。でも、こいつはどこまでも懐が広くて、優しい。  だから、好きなんだ。 「お前が心配することなんか、何もないよ」  宵闇はニコニコしながら、手提げ袋の中に丁寧に箱とリボンをしまう。 「ご飯にしようか。腹減っただろ」 「おん。飯何だ?」 「今日はちょっと品数多めだよ。ローストビーフもあるし…一応、ケーキも」 「よっしゃ」  ケーキなんぞあんまり食わねぇけど、こいつが作るのは甘さが控え目で美味いんだ。ほっとしたら、一気に楽しみになって来た。 「じゃあ、用意するよ。ああ、スパークリングワイン? も用意しといたから」  だからよ、お前は呑めねぇのに誰の誕生日だっての。  結局俺の為に支度しやがって。  愛されてるわ、俺。  宵闇は俺の頬にキスをして、百合の紋章にちょっと指を触れた。 「これも、大事にしてくれてありがとう」
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加