ぶきっちょDearest

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 もらった時は、あれば便利だなとしか思わなかったこれも、今は大事だから着けてる。  ま、金具の外し方を知らないだけなんだけど。  ……ん? さっき、こいつ金具に触らなかったような気がすんぞ。 「……お前、今これ、そのまんまかけたな」 「ん? ああ、だってこれ、頭通る長さじゃないか」  そのチェーン、俺のと同じくらいの長さのをくれって言ったんだわ、俺。  えっ!?  ちょっと待て?  自分の首にかかってるチェーンに指をかけて、そっと持ち上げてみる。 「……マジかぁ!!」  チェーンは難なく頭のてっぺんまで抜けた。思わず叫ぶわ。俺は1年8ヶ月もこの真実に気付かなかったのか!  宵闇は声を立てて笑いながら立ち上がった。 「やっぱり気が付いてなかったんだ」 「だってお前、これ、ちゃんと金具使って着けただろ!」  これを俺に着けてくれたのは、他ならぬ宵闇だ。その時にきちんと金具を外して、俺の首に回して、金具を止めたから……俺は金具を使わないと外れないと思い込んで……。  うわぁ、人にも「金具の外し方知らないから」って言っちまったぞ。何で誰も「上から抜けるがね」ってツッコんでくれなかったんだ! 恥ずかしいじゃねぇか!
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