ぶきっちょDearest

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 この……この野郎……めちゃくちゃロマンティックな気分になっちまったじゃねぇか……。もうすぐ宵闇の誕生日だし、それいいよなって……思っちまったじゃねぇか……。  一人で離れてタブレットを見てる、宵闇の涼しい横顔をちらっと見る。あいつ、今年も何も言わねぇ。  去年、「この先一年、一緒に俺の飯を食ってくれ」ってのが、あいつの希望したプレゼントだった。その更新がもうすぐ。  それはもう喜んで更新すんだけど、物もプレゼントしてぇんだよ。去年は結局「夕のための肌がけ布団」があいつから引き出せた欲しいものだった。今年もあいつに聞きゃ、俺の為のものしか欲しがらないに決まってる。  それじゃダメじゃん。そうじゃなくて、あいつの為のものをやりたいんだよ。  だから、今年は聞かねぇ。それは決めてた。でも、やっぱりあいつが欲しいものはわからなくて。  ちゃんと、何ヶ月も前から考えてたんだけどな。  去年のクリスマスは、相談しあったんだ。何にしようかって。  宵闇がお揃いがいいって言うから、ジッポにした。二人ともスモーカーだからさ。絶対にライターは持つんだし、そんならって。
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