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「もう着くかな?」って。ああ、待ってるじゃん。行かねぇと。
「今着いた。行く」ってちょっとだけ嘘をつく。ここでグダグダ悩んでたってのは恥ずかしい。
しゃーねぇ。下手くそだろ、って見せて、笑って、持ち帰るか。
ようやっと車を降りて、ヤツのマンションへ。エレベーターで上がって、ほぼ我が家である宵闇んちに到着すると、いつものようにドアがちょっと開いてる。
「ただいま」
声をかけると、そこから覗いてた宵闇がドアを大きく開いて笑顔で迎えてくれる。
「おかえり」
ちょっとだけ、躊躇う。
今日の俺は上がる資格ねぇよな。事実上、手ブラなんだから。
普段なら抱きついてただいまのキスってとこなのに、それをしない俺に、宵闇は首を傾げる。
「どうしたんだ?」
「ん? いや? 別に?」
宵闇は俺の腕を引いて引き寄せると、キスをしてくれる。
「ほら、入って」
「おう」
招かれるまま、靴を脱いで上がる。
リビングに座らされて、ポケットのタバコとジッポをテーブルに置く。宵闇のジッポもそこにある。
どっちもカッコいいよな。そりゃそうだ。プロがデザインしたもんだからな。
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