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ゆっくりと、彼女の歩幅に合わせて歩く。話すことは家族のこととかどうして身体をなくしちゃったのかとか。歩いて、近くの公園に着く。ここに来るまで、誰ともすれ違わなかった。人を見なかった。
「ここはどこなんだろう」
つい口から出る弱気な言葉に少女は不思議そうな顔をする。
「ここは豁ウ隹キ駅の近くの縺ィ縺帙′繧公園でしょ?」
聞き取れない言葉を話す彼女に怖くなる。そうだ、さっきだって変だと思ったのに。それでも彼女が変だとは思わなかったからここまで来てしまったけれど、それでもあの状況で変だと思っていなさそうな彼女はその時点で変だったのに。
「だって、だれも」
「そういえば誰もいないね」
彼女はあたりを見回す。
「あ」
何かを思い出したような顔をして彼女は笑う。
「そうだ、こっちじゃないんだ。うん、わかった。ありがとう、お兄さん」
そう言って彼女は走り出す。僕はそれを追おうとする。足が動かない。待って、と声を出そうとして視界が暗くなっていく。
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