(22)渇望

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(22)渇望

 月明かりがシーツの上に伸びて、暗闇の世界にぼんやりと白い肌が浮かび上がる。  部屋に広がる濃厚な空気は、上がり続ける熱をかき混ぜて私の体に降り注いだ。どこまでも終わりがないように続く、ヨハネスの熱いキスを受けながら、私はいつしか彼の背中に腕を回し、自ら求めるように舌を絡ませていた。 「ん…っ……はぁ……ふ……んんっ……」  まずは黒魔法を吸い取られているのだろう。お腹の奥から熱いものがせり上がってきて、喉元を熱くした後、全て舐め尽くすようにヨハネスが奪っていった。 「……こんなに溜めて……悪い子ですね、アリサは……」 「…えっ……」 「知っていますか?アリサの魔力を吸うと凄い快感なんですよ……、それはもう……触れずともイってしまいそうなくらい」 「……んな、しっ……知らないで……す」  耳元で濃厚な息を吐きならヨハネスが囁いてきて、私の心臓は飛び出そうなくらい跳ねた。 「ほら…、ここ触ってみてください」  さりげなく私の手を取り、ヨハネスは自分の下腹部に私の手を取って導いた。 「えっ……! あっ…こ…これは……」  神のごとく美しいヨハネスの股間にある、とてつもないものに触れてしまって私は真っ赤になった。  もちろん四人の弟のいる姉だ。そこに何があるかは十分分かっている。  しかし、そこにあるのは記憶にあるものの形とは大きく違うものだった。  天に向かって聳え立つように衣服を押し上げていた。そして触れると石のように硬く熱を持っていた。 「あ…あの、これって……あれ、ですよね」 「ええ、アリサの可愛い舌に煽られてこんなになってしまいました」  責任とってくれますかと耳元でまた囁かれて、頭がクラクラとしてしまった。 「本当ならアリサの中に精を放って中和させるのが効果的なのですが……、それは取っておいてあげましょう。その代わり、初めて血を吸う名誉は頂きます」 「は…はい……」  どうすることが正解なのか分からないのでそこはお任せするしかない。私は素直に頷いた。  ベッドに横たわった私のドレスに手を掛けたヨハネスは、紐を解きながら薄いドレスを一枚一枚外していった。  最後の一枚だった下着の紐が外れると中からぽろりと私の胸が現れた。  恥ずかしくて手で隠そうとしたが、それよりも早くヨハネスが私の懐に入り込んで胸に顔を埋めた。 「うっ……ヨハネス様……」 「なんて美しいのでしょう。これを愛さずにいられますでしょうか」 「わっ…わ……ぁ…ちょっ……」  私の胸は決して大きくはない。むしろ小さくて目立たないから恥ずかしかった。それなのに、ヨハネスは手の中に包み込んでぐにぐにと揉んでくるので、変な声が出てきそうになった。 「えっ…まっ……まって……あっ…んな…」  妙な感覚が体に芽生えてきたところで、ヨハネスのざらざらとした舌で胸の頂を舐められてしまい、思わず体をぶるりと震わせた。 「ひ……んんっ…くす…ぐったぁ……」 「こら、隠したらだめですよ。もっと…可愛いアリサを見せてください」  くすぐったいのと恥ずかしいので、体をよじって枕に顔を埋めたが、目ざとくそれを発見されヨハネスに枕を奪われてしまった。  おかげで隠すものが何も無くなってしまい、顔が熱くなって火が出そうになった。  ここで自分の下腹部にも違和感があることに気がついた。どうも先ほどからヨハネスに胸を舐められる度に、下腹部がきゅんと締まっておまけに何か漏らしてしまったかのような感覚までしてきた。  それを気がつかれたら大変だと隠すように体を縮こませたら、それを見たヨハネスがニヤリと笑った。 「おや……、とっても甘い匂いがしてきました。少し触ってみてもいいですか?」 「え………、だっああ!! ダメです! ああああの、今…私……その……」  なんと隠しておきたいと思ったそばから、ヨハネスが私の下着の中に遠慮なしに手を入れてきてしまい、ひどいことになっているのを知られてしまった。  もう恥ずかしくて誰にも顔向けできないと思っていたら、ヨハネスは嬉しそうに微笑んだ。 「ん?……、こんなに濡れてますよ。もう誘うことを覚えたのですか? やっぱりアリサは悪い子ですね」 「ええっ…さ…誘うって……」 「いいのですよ。たくさん濡れてくれた方が男は嬉しいのですから。早くこの中に入って果てたいですが、今日はこれで気持ちよくなってください」  私は恥ずかしくてヨハネスから逃げるように背を向けたが、背中にピタリと体を付けられて、後ろから伸びてきた手が胸と下腹部に分かれて刺激し始めた。  ヨハネスの長い指はどんどん下着の中に押し入ってきて、ありえない場所を弄り始めた。 「よ…ヨハネス様……、だ…だめです。そんなところ……きた……ないですか…ら…」  胸の蕾を指でこねるように引っ張ったと思ったら、もう片方の手は私の秘所でぐにぐにと動いていた。  あの場所から溢れた蜜が指が動く度にぴちゃぴちゃと音を立てて恥ずかしすぎて耳を塞ぎたくなった。 「汚くなんてありません。本当はここの花びらをかき分けて丁寧に舐めていきたいところですけど……」 「いっ…!! ぜっ…絶対……あっ……だめで…す……!」 「ふふっ…初回から飛ばしてアリサに嫌われたくないから今日はやめておきます」  と言うことはいつかやるつもりなのだろうか。  人々に聖なる言葉を授ける聖人と呼ばれる人の口が自分のあんなところをと想像すると気絶しそうになった。 「あっ……そっ…そこ、……んぁああ!!」  あわあわと混乱していたら、ヨハネスの指がある一点をグニグニと強く摘むように刺激してきた。ただのむず痒い感覚が強い快感に変わり大きく喘ぐ声を上げてしまった。 「ここに、可愛い芽がありますね。しっかり顔を出してあげました。ほら、こうやって摘むのと、こりこりするとどっちがいいですか?」 「ひっ…そ…そんなぁ! あ…だ…めっ…つまむ…こり…りするのも……いや…ぁ」  そこからの快感に目覚めた私は、身をよじって逃れようとしたが、ヨハネスの指がもっと強く刺激してくるので、あっという間に力が抜けて、しかもぐりぐりとヨハネスにお尻を擦り付けるように動いてしまった。  だが、お尻にヨハネスの硬いアレを感じてハッとして動きを止めた。 「んんっ……こら、アリサ…やっぱり悪い子ですね」 「ぁ……ご…ごめんなさい」 「はぁ……アリサの手でと思っていましたが、我慢できなくなってきました」  後ろでゴソゴソと下着をくつろげるような気配がして、私の太ももの間に何かが入り込んできた。 「えっ…ちょっ……ええ!?」 「アリサ…ぐっと足に力を入れてください。今日はこの間で私をイかせてください」  入り込んできたのは硬くて熱いヨハネスの欲望だった。ヨハネスは私の太ももの間に出入りして、怒張を擦り付けてきた。  ヨハネスが腰を使って動き始めると、私の愛液の滑りを利用して、ぬちゃぬちゃと卑猥な音が室内に響いた。 「は…ぁ…なに……あ……あぁ……」 「ん……気持ちいいですよ…アリサ……」  ヨハネスの欲望は私の秘所を擦るので、あの気持ちいい部分を擦られる度に快感が込み上げてきて、私の蜜はだらだらと溢れてきた。シーツが水溜りみたいになっているところを想像して私は顔を手で覆った。  ヨハネスの抜き挿しはどんどんと速さを増していった。耳元でヨハネスの熱い息と感じる声が聞こえてきて、胸が甘く痛んで、下腹部の蜜口にはぎゅうぎゅうと力が入った。 「アリサ…そろそろ……」  ヨハネスの堪えるような掠れた声が聞こえて、私のうなじに何か硬質なものが当たる感触がした。湧き上がる快感に悶えながら、首を動かしてヨハネスの方を見たら、ヨハネスの口元にあの大きな牙が光っているのが見えた。  あぁ…あれに……ついに……。  私の頭の中は興奮で真っ赤に染まったようになった。  欲しい、欲しい、欲しい……  アレを私に……私を…… 「……んで、…か…んで……」 「はぁ…はぁ…ぁ…アリサ……?」 「私を……噛んで! ヨハネス」  なぜそんなことを叫んだのか分からない。だが、もうその時は頭がそれでいっぱいでたまらなかった。  私の声にヨハネスは目をギラリと光らせた後、口を大きく開けて勢いよく私のうなじに噛み付いた。 「あああああっっっーーー!!」  噛まれたうなじから強烈な快感が突き抜けて私はビクビクと体を揺らした。蜜口がぎゅうぎゅうとうねるように波打ったのを感じた。  痛みはないが、鋭い牙が体の中に入っていくのが分かる。噛まれたうなじが焼けるように熱くて、中の牙が動く度に電流が流れるみたいに全身に指先まで快感で痺れてしまう。  ヨハネスはずっと渇いていたかのように、ごくごくと喉を鳴らして私の血を飲んでいた。そして私の後ろで何度か腰を動かして震えたかと思ったら、股の間に入った怒張が爆ぜてシーツにびゅうびゅうと白濁が飛び散ったのが見えた。  あれがヨハネスの精、私に噛み付いて血を飲みながらヨハネスが達したのだと分かった。  ヨハネスに吸血されている間、私の快感は終わることがない。  時折り堪えきれなくて、快感の連続に嬌声を上げてしまうが、ヨハネスは容赦なくごくごくと飲んでいく。  私は何度も込み上げてくる快感にビクビクと体を揺らした。その度に頭が真っ白になって、気が遠くなる。これが、女性がイク…達したということなのだろうか。  何度目か分からない快感の絶頂に身を震わせたところで、私の意識は本当に薄れていき目の前が真っ暗になってしまった。  耳元でヨハネスが私の名前を呼んで、ぎゅっと抱きしめられたような感覚だけを覚えたところで完全に落ちてしまった。  □□□
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