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(5)告白と気持ちの目覚め
「前の世界じゃどうだか知らないが、この世界ではそんなに足を出した格好は、誰でもいいから襲ってくださいって意味があるんだ。ラミーのやつ……なんでそんな格好を……」
「んっ……くっ……ぁ……」
ベッドにうつ伏せにされた状態で、スカートをたくし上げられ露わになった短い下着の上からさんざんお尻を撫で回されたと思ったら、今度は秘所を指で擦られて、むず痒い快感がじりじりと私の下半身から湧き上がってきた。
きっとラミーは私がランスロットに片想いをしているから、お互い奥手に見えていたので、ハプニング的にくっ付けてあげようと気を回したのだろう。
そういう意味では効果的面だが、この状況はどうしたらいいのか困っていた。
こういった行為は治療目的であるはず。
だが、ベルトランの時もそうだし、ランスロットも目的から外れてしまう。
手を出したのは私の方だが、このまま進むことが、お互い傷つけることになってしまわないか考えても答えが浮かんでこなかった。
「ぁ…ちょ……だめ……」
ついに薄い布一枚の防御を超えて、ランスロットの指が直接私の花芯を弄り出した。
すでにだらだらと蜜を溢れているのが自分でも分かって顔が熱くなった。
「なんだ……すごいびしょびしょじゃないか……。アリサ、こんなに濡らすなんて……」
「だ……っ……、ランスロットが触る……から……」
「……俺が?」
他に誰がいるのだろうか。
まさか、何もしていなくてもこんな状態だと誤解されていたのかと、首を回してランスロットを振り向いて見た。
私を見下ろしながら、ギラギラと目を光らせて、涎を垂らして興奮しているようなランスロットと目が合った。
ドキンと心臓が揺れて早鐘を打ち始めたら、もう目を逸らすことはできなかった。
「アリサ……!!」
ガバッと後ろから覆い被さってきたランスロットに、激しく唇を奪われた。
噛みつかれるような口付けで、ランスロットの牙が私の舌に当たって擦れて血の味がした。しかし、それすらも快感だと思えてしまう。
ランスロットの手つきは荒々しかった。片手で胸を無茶苦茶に揉まれて、片手は私の蜜壺を掻き回してきた。
慣れなくて乱暴とすら思える動きが、激しく求められているように思えて、気がつけばぶつけられるような快感に喘ぐ声が止まらなくなっていた。
「はぁ…ぁ…あっ…ああ…い……い」
荒々しく動く指が、花弁の中から芽を探し当てて、そこをぐりぐりと擦られた。ちっとも優しくない無骨な動きに煽られて、ついに私は快感の波に飲み込まれた。
「ああああっ…いっ……くくっっ!!」
びくびくと腰を揺らして、膣内に入れられたランスロットの指を食いちぎる勢いで締め付けた。
「……アリサ……、もしかして……イッたのか?」
「……んっ……ぁぁ……」
「アリサ!!」
嬉しかったのか、ランスロットはぎゅうぎゅうと私を抱きしめてきた。
そんな初々しい反応にキュンと心臓を掴まれてしまう。
これは何という気持ちなのだろうか。
胸に甘く広がるものが何なのか、答えは見えそうで見えない。
「はぁはぁはぁ…アリサ……がま…できな……興奮しすぎ……て……ひどく……してしまいそう……だ」
後ろから抱きしめてきたランスロットは、私のうなじに牙を立ててガリガリと肌を擦り始めた。
「あ…い……いよ。……きて」
ここまできて私を気遣おうとしてくれる気持ちが嬉しかった。ランスロットの気持ちに応えたいと私は腰を浮かせた。
お尻を猫のように動かしてランスロットの欲望に擦り付けた。
「っっ……!!」
「ぅぅう!んあ……ああああぁぁぁ!!」
我慢が限界を超えたのか、ランスロットは張りつめた怒張を私の蜜口に一気に押し入れて貫いた。
すでにトロトロに蕩けていた膣内は、ランスロットの欲望を歓喜の音を上げてすぶすぶと飲み込んだ。
「くくっ……やばい、なんだ……これ」
ランスロットはぶるぶると体を身震いさせて、これまた荒々しく律動を開始した。
「だ……おかしくな……る、アリサ…アリサ……」
流れ出る蜜が擦れる水音と、後背位で打たれる度に肉のぶつかり合うパンパンという乾いた音、二人が漏らす甘い吐息、全てがお互いの興奮を煽るように部屋に溢れていた。
「ああっ…!」
ランスロットは時折り牙を立てて私の背中に噛み付くが、少し飲んではすぐに離してしまう。
もしかしたら、理性が壊れてしまいそうで、少しずつ散らす事で保とうとしているのかもしれない。
快楽の淵に立って、揺さぶられ続けるこの状態に私の頭は限界だった。
「…ット…ランスロット…お願い……お願い……」
「はぁ…はっ…アリサ……?」
「ちゃんと…噛んでぇ…焦らさないで……欲しい……欲しいの…」
後ろから私に軽く牙を立てているランスロットに、私は懇願した。
まるで幼な子のようにポロポロと涙を流しながらランスロットを見つめると、ランスロットの顔は真っ赤に染まって、瞳にはまるで獣の様な鋭さがギラリと光った。
もしかしたらオールドブラッドには、一般の人間よりも、ただ血を求めて捕食を繰り返していた原始的な本能が消えずに残っているのかもしれない。
ランスロットはいつものランスロットではなくなった。
まるで、手負いの獣のごとく咆哮を上げて、口を大きく開けて今まで一番牙をめきめきと出した後、私のうなじにブスリと音が鳴るくらい深く食らいついた。
「ああああ……ぃいい………」
この瞬間を待っていた私は声にならない声を出して達した。
ランスロットもまた私の奥深くで爆ぜた。熱い飛沫が蜜壁に飛び散っていくのを一滴も残さないように私の中はうねって搾り取っていく。
ランスロットは一度牙を引き抜いた後、今度は背中に噛み付いてきた。さっきより深く、もっと深い奥まで飲み尽くすように…。
膣内に残ったままのランスロットも、硬度を失うことなくまた存在感を増していた。
「ああ…もっと…もっと……」
快楽の虜になった私は、終わりがない快感に翻弄されながら、ひたすらランスロットを求め続けた。
「せっかく衣装に着替えたのにいつまで経っても二階から降りて来ないから、見に行こうかと思っていたけど行かなくて正解だったわね。上手くいったでしょう」
それは明らかにボロボロになったミニドレスを見れば想像できてしまうだろう。
びりびりに破かれて、色々なものでぐしょぐしょに濡れて固まって……、とにかくもう見せることもできないので袋にしまってラミーに謝ったが、それはプレゼントだからと嬉しそうな笑顔が返ってきてしまった。
「あ…あ、う…うん」
「良かったぁ! 私カップルの橋渡し役大好きなのよぉ。これで何組目かしら、うふふ」
宿屋はパーティーのため貸切だったので、もともと酔い潰れたり気分が悪くなったら、部屋は自由に使ってくれと言われていた。
しかし、あれだけ大騒ぎしてしまったら、木造の壁の薄いこの場所で、誰かは絶対気づいただろうと思うと顔を覆って歩きたい気分だった。
下のパーティーは盛り上がっていていたので、誰も二階に上がって来なかったことを祈るしかない。
ランスロットとあんな事になってしまい、気がつけば二人で気を失って倒れるように寝ていた。
パーティーの方も夜通し大騒ぎだったようで放置されていたのが救いだった。
いや、多分気を使われたのかもしれない。
やはり恥ずかしくて死にそうだ。
部屋の清掃と、パーティーの後の片付けの手伝いがやっと終わったところだ。
ランスロットは奥の部屋でトレイと話している。
「ラミー…、私達さ、カップルって言うか…ちょっと色々事情があって……」
「え? アリサは…ランスロットのこと好きなんでしょう? 私てっきり……」
こんな事になって改めて言われると、心臓がどきっと鳴った。私はこの世界に来て、聖女でないと判断されて、それなら誰かを好きになって生きていきたいと願ったのだ。
前の世界では恋愛とは無縁だった。
この世界でだって簡単にできるなんて考えていなかったけれど、私にとってランスロットもエドワードもベルトランもヨハネスも、みんな大事な人になっていて、それが恋愛なのかと言われたら、何とも言えなかった。
「……例えば、複数の人を好きになるとかある?……いや、そんなの……おかしいよね、ごめん」
「なんで? おかしくないわよ」
サラリとラミーから返されてしまったが、よく考えたら多夫制のある世界だからその辺り違和感がないのかもしれない。
「あら、他にもいい男がいるのね。アリサは難しく考えすぎ。好きになることに制限なんてないのよ。それが許される環境で、相手もそれでいいと望んでくれたらいいじゃない。一人がいいって言う人もいれば何人も好きだっていう人もいるし、素直に生きればいいのよ。だめだったら次行けって、この世界の女は楽観的で強いのよ」
ラミーのとんでも理論に押されて何も言えなくなってしまった。
前の世界の常識から考えたら、非難されてもおかしくないような豪快な意見だ。
しかし許される環境、確かにそれが一番大きいのかもしれない。
私は自分が生きる為の行為だと無理矢理納得していたが、自分の気持ちについて、しっかり向き合って考えてみることにした。
「どうした? アリサ。体が…辛いのか?」
帰りの馬車に揺られて、無言でぼけっとしていたら、心配したのか前に座ったランスロットが話しかけてきた。
昨夜あんなことがあって、今朝起きた時はお互い気まずかったが、ランスロットが気遣ってくれているのは感じていた。
「大丈夫…、すぐ回復するから。元気いっぱいだよ」
安心させるようににっこりと微笑みを返した。
今朝着替える時に背中に付いた噛み跡が凄いことになっていた。
鏡に映る穴だらけの背中に絶句したが、これも明日にはもう薄くなっているだろう。
「アリサ……」
小さく息を吸い込んだ音がして、顔を上げると、ランスロットが真剣な目をして私を見つめていた。
「前の世界に戻りたいと願うお前に、こんな話をするべきじゃないことは分かっている。だから……応えてくれなくていい」
ランスロットの真っ青な瞳の中に大きく目を開けた自分が映っていた。動けなくなるくらいの強い視線だった。
「俺はアリサが好きだ」
ランスロットの口から紡ぎ出された言葉に私の体は固まって、視線を逸らすことも瞬きすることも出来ずに、そのまま見つめ続けた。
「応えてくれなくていい……。だけど、ここにいる間は、どうか……少しだけでも……俺を……俺を見て欲しい」
「……ランスロット」
「他の男と比べてくれてもいい。俺を弟じゃなくて……一人の男として、アリサのことが好きだって……知っておいて欲しい」
真っ白で真っ直ぐで強い思いを向けられて、私は眩しさに目が眩んだように目を細めた。
自分の気持ちと向き合おうと考えてすぐ、ランスロットから好きだという熱い気持ちを注がれた。
わずかな戸惑いが私の腕を掴んでいたが、ほとんどは嬉しいという気持ちだった。
やはり、ちゃんと答えを出さないといけない。
私も真剣にランスロットの目を見つめて、小さく頷いたのだった。
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