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「えへへ……それでは歌います! パスタと山田とポメラニアン……おえっぷ!」
生演奏と遜色のない、美しいピアノの旋律によるカラオケ音源が流れ始める……が、由佳は苦悶の表情を浮かべ、うずくまる。
「だ、大丈夫か? 由佳ー!」
手に取っていたフライドポテトを己の口に放り込み、由佳の元へ駆け寄ろうとする丸夫。
「だっ大丈夫だよー! なんとか持ちこたえたよー!」
足首を捻挫しながらも懸命にゴールを目指す大学生駅伝ランナーのように立ちあがり、マイクを握りしめる由佳。
「ああ! ナポリタンよー! おえっぷ!」
ふらふらと前進しながら、消化前のナゲットを吐き出す由佳。可愛らしい歌声も台無しだ。
「……まぁ大丈夫か。いつものことだし」
怪訝な表情で首を傾げながらも、咀嚼中のフライドポテトを飲み込み、ソファーに戻る丸夫であった。
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