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すっかり歌姫になりきった由佳が、カニのような振り付けを交えつつ楽しんでいる。体調は良好なようだ。
その姿を優しく見守る丸夫。だが、どことなく落ち着きがない。
「……」
無言でうつむき、懐に手を入れ、サファイアの指輪を握りしめる。
「んはーっ」
カバのあくびのように、豪快な吐息を噴射すると、再び、由佳へと視線を向ける。
「オールウェーズやまーだ!」
ちょうど曲がサビに突入したところであった。由佳のテンションも最高潮に達する。丸夫も立ちあがり、やまーだと叫ぶ。
イカリングを持ってきた店員は、空気を読んで、曲が終わるまで扉の前で待つ。
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