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「丸ちゃん……これ……」
床に落ちた指輪を指差し、首を傾げる由佳。
「いや……その……」
のそっと立ちあがり、呪われた熊のように、挙動不審に辺りを歩き回る丸夫。
「その……えーーい!」
突然、死を覚悟した僧兵の如き表情を見せ、由佳に向き直る丸夫。しかし、由佳は指輪を見つめたまま。僧兵の熱い瞳など、感じる気もない。
「その……由佳、俺とけっこ」
「凄いね。こんなのど飴があったんだ! 美味しそうだなぁ……舐めてみたいなぁ……」
丸夫の覚悟を美しく遮った由佳。食いしん坊な力士のような表情を浮かべ、意地汚なく床へと這いくばる。
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