放課後は春休み【短編】 6/28-7/2

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 神津旧道トンネルはうちの高校から徒歩30分くらいでとても近い。いや、近くはないような気もするけどまあ歩けなくもない距離、だろ? 「校長の話は春休みの注意事項だろ?」 「そうだよ。だから止めようよ」 「春休みは明日から、だよね」 「どんな屁理屈だよ」 「時康よ、言ったもんがち、という言葉があるのだ」  そんなわけで俺氏は春休みがいつからかという命題に、明日から、という答えを導き出したわけなのだ。  それで放課後に2人のほかに時透(ときとう)さんも誘ってみた。時透奈美子(なみこ)。先月くらいから仲良くなった同じクラスの黒魔術系女子。お化け好きそうと思って。 「ごめん。彼氏いるから男子とお出かけはちょっと」 「あ、そだよね。ごめん、気軽に誘っちゃって」 「大丈夫大丈夫。折角だから行ったら写メ送って。気にはなってるの」 「オケ! じゃあまた四月」 「うん、またね」  時透さん、バレンタインに出来た黒魔術系彼氏とまだ続いてるのか。  うう、時透さんかわいい。バレンタインでは俺と一瞬だけいい雰囲気になった気がしたのにでも一緒にサバトに行くのはちょっとうーん。別れろと思う気持ちとどうでもいいという気持ちの板挟み。あぁ。
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