放課後は春休み【短編】 6/28-7/2

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 旧道トンネルの中自体はコンクリ舗装されててわりかし丈夫そうなんだけど、トンネル自体が崖地に刺さるように作られて倒壊しそうな恐ろしさ。トンネル上部はもちろん擁壁で固められてるけど擁壁自体が古くて劣化してところどころぽろぽろしていて怖い。 『崩落の危険があるため、近寄らないでください』  そんな立て看板が置いてある。  さもありなん。そしてボロい以上になんか怖いのがトンネル入口を固めるコンクリート。こちらにせり出すよう威圧的にそびえ立つ分厚い壁には妙に深いヒビが入っていて、ゴロっとこっちに崩れ落ちてきそうだぜ。それでそのヒビの隙間から妙にカビ臭い風が流れて来ている気が、してきた。  多分すぐ東に結び池(むすびいけ)っていう池があるんだけど、そこの湿気が染みてきてるのかな。妙にじめついていて、その湿度で傷んでるんだろうなっていう変色具合。ええと、風化?  校長先生が『危ない』って言った意味がわかった。お化けに祟られるとかヤンキーに絡まれるとかじゃなくて、物理的に崖地が危ないっていう感じ、うわぁ。坂やんは完全にドン引いて時康は呆れてる。なんつうか、口がぽかんと開くボロさ。今地震が起こったら生き埋めになりそう。  それから目を落とした先のトンネル奥もなんだか怖い。  高さ2メートル半くらいの丸い入口のはるか遠くにある小さい白点が多分反対側の出口。その間に光はない。電灯も何もなくて真っ暗。じめじめ真っ暗。昔の人はこの暗い中を通ってたのかな。なんかちょっと、ここを通るの怖いような。
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