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.ヒトの知る地獄.
それは、
生前、罪を犯した者が、死後に
苦しみを受けるという場所
その様子は、この世の、どんな
国でも、どんな宗教の教えでも、
伝えられるほど、苦しみを伴う、
すさまじく恐れられる処 ...
けれど ...
「 隣の芝生は ...」
などとの言葉があるが、
それは、隣 ...
離れたところから観れば ...
なのか、
この地獄も、いまの世で、
幸せに
暮らせている者からして
みたら、
とても ... な、
処らしいが ...
じつは ...
いまそんなに幸せな境遇にいない
者からしてみたら ...
それほどでも ...
それに、たとえ、現世で、
「 成功者 」「 富豪 」「 上級国民 」
「 先生 」「 神 」などと、
ヒトさまから
羨ましがられるようでも、
本人が、
その世で幸せを感じていなければ、
たとえ地獄へ落ちても、そんなに ...
辛い処でもない !?
「 地獄 」は、本当に、
いろいろ、あるらしい
だから、
たとえば、
「 血の池地獄 」は、
死神にカラダの皮を剥がされた後、
『 ぎゃぁ ----- !』
沸騰する真っ赤な血の池の中へ
突き落とされ ...
と、むごたらしい姿の、苦しむ者らが
うごめいている様に、観られている?
らしいが、 でも ...
それは、じつは、温泉、で、その色は、
自然に化学反応を起こして生じた、
酸化鉄、酸化マグネシウム等を含んだ
もの。
ただ、メチゃ、熱すぎるから、
チョッと、入っている者が、
表情をこわばらせているだけだし、
だから...
『 いい湯だなあぁ ❣ ... 』
「 糞尿地獄 」は、
死神にカラダの皮を剥がされた後、
『 ぅ !お え ----- !』
糞尿、排せつ物の底なし沼に落と
され、底なし沼だから、ドンドン、
カラダは沈み、這い上がる事も
デキずに、
アンモニア臭 ? の激クサと、
その刺激、肌から沁み込む
ヒリヒリとした痛みに耐えなけれ
ばならない ...
みたいに ?
観えているらしいが、
これ、糞尿 ? ジャナクテ、
天然ミネラル成分の泥パックが
できる、泥温泉だし、
だから、臭くないし、みんなも、
顔にも塗りつけてるくらいだし ...
『 すべすべぇ --- !』
「 氷水地獄 」は、
死神にカラダの皮を剥がされた後、
寒冷の責め苦をうける ...
『 ひぇ ------ !』
は!ドンドン気温上昇で、
温暖化現象だから、そこの者が、
マイナスイオンや、「 冷たさ 」
に癒しを求めて飛び込んだ、
恵みの池だし、
『 スッキリした --- ! 』
で ... あと、
「 死神に
皮を剝がされて ...」
は、皮 ? 剥がされてないし !
温泉に入れば、まぁまぁ、
血行も良くなって、
皮膚も赤みを帯びるからね ...
なのでホントウはその
「 地獄の住民たち 」は、
ゼンゼン困ってはいない。
で!これは、そう なのだが ...
昔、この国に、天下統一をした、
頭が良く、
ヒトビトからも
崇められた、
立派な、
武家のトップにいた 、
( 皆さんも良く知る
御方なのでこんなカンジで
簡単に登場してもらいますが )
その御方は、背があまり高くなく、
贅沢ばかりしていたので、
すっかり肥えてしまい、だから、
ぽっちゃりさんで、顔も ...
いえ ! 外見、容姿は、今は、
です、ね、まぁまぁまぁ ...
関係、ないので、
サラッと流して ...
なので、とても、お金持ちだから、
それに、トップだから、この国の、
どの者よりも幸せな ? はずで、
人々からも、
羨ましがられるほどの暮らしを
毎日続けていたのですが ...
でも、これも ...
本人によると ...
こんな生活、
厭きるみたいで ...
…ドタバタドタバタ!
『 そうなんすよ !
聞いてください !』
「 ふぅ-------!
だってね ... 」…
スミマセン...
… ペコリ!
( この者は、口が達者で、
黙りませんので ... ここからは、
この者の申しますとおりに、少し、
喋らせてみましょう ... )
「こほっ…
そうですか?
ご理解頂ければ幸いです」
そうなんですよ!
... 私は、確かに、
恵まれていたのかもしれませんが ...
ですが、ずっと、
広い屋敷の中で、私は ...
幸せではなかったのです ...
だってね ...
周りの人は、ヨソヨソシクテ、
呼ばないと誰も来てくれないし、
なにを話しかけても、尋ねても、
本気で、本音で、話を、アドバ
イスをしてくれる者など ...
いなかったし、
毎日、毎食、目の前には、
どんなに自然災害が続いて、
凶作の年でも、
豪華な膳は、
用意されてましたけどね ...
そんな、
豪勢な、美味しい物を並べ
られても、
「 毒見 」 ? 役の者が、
目の前で、嫌そうに顔を顰め、
て、食し、
ひっくり返しほじくり返し、
グジャグジャ、に、
したものを ?
食べさせられるし、
羽織る着物も、
華美な物が用意されても、
これ ...
「 お似合いで ... 」 ?
とか ... 云われても ...
横から見たり、後ろ姿とか ...
全身、その姿は、
私は見ることができないのに ...
それ …
なにせ、この体型では、
だから、本当は、
オシャレに興味もないし、
それに …
広い屋敷に暮らしていても、
同じ処に居たら厭きるし、
それで、
外に往こうとしても、
「 危ないから ! 」って、
どこかに行こうとしても?
なんだか邪魔されるみたいに、
思った時に思ったところへ?
すぐには?往けないし …
鷹狩りも毎回同じメンバーで?
じゃ ... つまんないし ...
だから ...
ゼンゼン、孤独で、窮屈で、
不自由でしよ !
こんなんだったらさ ...
「 地獄に落ちたと ... 同じ ... 」
なんて、
罰当たりなことを口走ったら?
バチが当たって ?
お腹壊して、
カラダが弱って、とうとう ...
で、
本当に、来ちゃったみたいで、
それで、だから?
ここの責任者 ? に、
「 どの地獄が良いか 」
なんて訊かれたから、
私は、
エアコンのない時代に生きていたから、
暑い季節は、嫌だったし、
「 氷水地獄 」 ? をリクエストして
みたけど ...
これは ? 「 冷泉 」 ?
最初は、
気持ち良かったけど ...
こればかりの毎日じゃ ...
べつに ... 辛いことはないけど !
やっぱり ... ここも、厭きるから ...
もう一回 ! 責任者の処へ
行って、私の得意な、会話術、
交渉術を駆使して、ちょっと、
別の温泉へ ! って、
替えてもらおうとしたんだけど ...
『 オマエ ワガママ ! 』
って、怒られちゃうし ...
ならば !
「 ぇえ~ん ! 」って、泣きまねを
してみたけど、
『 ゼンゼン、カワイク、ナイ ! 』
って、拒否られちゃうし、
じゃあ ... 少し ... 考えてから ...
出直そうと ...
すごすご ... おめおめ ... と、
引き下がろうとした時、
ナンデも分かってしまう ?
ここの責任者からは、
『 いや、まて ! きっと、
また、オマエは文句を言いに、
やってくるダロ ... 』
と、察しが良く ?
ここにおいておくのが、
メンドクサ ? がられて ?
だから、結局、この場で、
話を ? きいてもらえそう ?
だったんだけど ... さすがに、
それは、
他の者たちの手前 ...
なので ! ここ、じゃ、なく ?
目立たないように、
「 姿を変えて、また、
現世に戻す ! 」のか、
「 姿を変えて、知らない世で、
自分を知らない者に囲まれて
暮らす ! 」のか、
を、提案されて ...
で、そうか、
こんなにあっさり ?
還れるの ? って?
それじゃぁ ! ... って、
考えようとしたら ?これ ?
そのまま、
『 お裁き 』 ?
? が、始まっちゃって ...
『 え ? たいへーん !』
… ぅわ~!思ってた以上にうるさ!
ぇ~!は~ はいはい …
… 申し訳ございません ...
この者は ... ゼンゼン!
分かっていない様ですので …
… ペコㇼ!
そんなわけでここからは、
この、お裁きの場で、
大王様にお任せし、
この者にはキッチリと ...
... して、もらいましょう ...
…"どぉ------ん!”…
『 うるさいぞ !
オマエはなにをグダグダ
ほざいているんだ! 』
「 ぇえ------ ⁉ 」
『 オマエは、自分の欲のために、
戦をし、
たくさんの者たちを傷つけ、
たくさんの者たちを殺めてきたな、
だからここへ来たのだろ? 』
「 いえ、
その様な覚えは ... 」
『 とぼけるな ! 』
「 いえ、本当です、確かに、
私は戦を起こし世の中を、
変える事をしました。
ですが、私は、皆のために、
国を一つにまとめ、
皆が平和に暮らせるように、
と、
そんな世を
創ろうとしただけです。
おかげで、そのあとは、
戦が無くなって ... 」
『 キレイゴトを言うな !
人の世のいざこざが、
なくなるわけがないだ! 』
「 は ... い ... 」
『 なんだヌケヌケト ...
オマエは口が達者なようだが、
騙されんぞ ! 戦も、全て、
自分のために、ダロ!』
「 それは違います!」
『 本当か ? 』
「 はい ...
その ... つもりでした ... 」
『 あ ?
なんだか、弱腰な ... 』
「 はい ... なんだか、そう、
云われると、いまさら、
ですが ...
分からなくなって
きまして ...
たしかに、
考えが足りなかったとも ... 」
『 ... そうか、少しは、
他の者たちのことも
考えられるように
なったのか ... 』
「 ・・・・ 」
『 ふ ... まぁ、いいさ !
オマエは文句が多いから !
これで還したところでまた、
やってきそうだし、何度も、
相手をさせられるのも
かなわんからなぁ、
とっとと処分をせねばな ... 』
「 私を処分するのですか ?」
『 あぁ ...
それが仕事だから ... な 』
「 .... へぇ ... 」
『 さてと ... オマエが、
改心し、
他の者を思いやり、
考えられる者になる、
というのなら、早速、
実践してもらおう !
オマエには、
他の者のために ... 』
「 他の者のタメに ?」
『 あぁ ! オマエが、
これから、往かされる世で、
オマエのすぐ近くの者たちの
役に立ち、護り、助ける
事ができたなら、オマエの、
「 悪ポイント 」が、減っていく 』
「 ヒトの役に立ち、
助け、て、護る、で !
悪ぽいんと ? が ...
減るんですか ? え ?
『 悪ぽいんと 』 って ? 」
『 ん ! あ ? そうだぞ !
オマエが傷つけ、
殺めてきた者たち、それら
悪行の、度に、
悪ポイントがつき、それが、
オマエの
data にあってな ... 』
「 私の でえた ? 」
『 あぁ ... オマエ、
戦を繰り返したおかげで、
随分と、
悪ポイントが多くてなぁ
それも、驚け !
並みの悪人どころでは
なくてな ... 』
... ぅわ ~!なんだそれ ?
そのせいか ... じゃぁ ...
ここに来たのは、
「 地獄に落ちたと同じ ... 」
なんて愚痴ったから、
じゃないんだな ... そう、
だよなぁ ... でも ...
「 私は ? 並ではないと ... 」
『 あぁ ... さすがに
オマエクラスになると、
そりゃ ... 』
... ん ? 「 並じゃない 」って
言われるとどんな事でも ?
まぁ ... ちょっと ? は、
嬉しいような ...
「 ... どのくらいですか ... 」
『 3ケタではなくて ...
4ケタでもなくて ... 』
「 そんな ? に ... 」
『 ぁあ ... オマエの悪ポイントは、
千、万どころではないぞ ... 』
「 ... そんなに私は !
ヒトを殺めては ... 」
『 いいや ! オマエ、
頭が良いくせに、
解らないヤツだな ... 』
『 戦をすれば、相手だけ
ではなく自分が動かした者
たちも傷つける事になるし、
死んだ者だっている。
それに、その者たちの、
周りの者たちだって ... 』
『 その !
戦に往った主人を失えば、
食っていけなくなる者もいる
戦一つ でも、被害は、
オマエが知るよりも、もっと、
もっと、だ !
それをオマエは何度も何度も
はっ ! 腹が立つ !』
「 ... あ ... 」
『 それに ! オマエは、
戦で一番前に立つことも
なく、その、
むごさを視ることも !
なく !
どうせ ... 頭だけ使って ...
それを ... あぁ !
さっき、オマエは、
ほざいたな !
皆が平和に暮らせるように?
だと ?
そんな ... つもりでも !!
不幸になった者らは ...
多いんだぞ !』
「 ... は っ ... 」
... そうだったのか ...
『 な ! ... 話を戻すぞ、
だから、
オマエがこれから往く世で、
悪ポイントがなくなるまで !
ヒト助けを続ければ、
いずれ ... 』
「 ... はい、
どうなりますか ? 」
『 ... まぁ ... 先のことは、
いまはまだ ... 』
「 は ?
それではやる気が ... 」
『 なにを言ってる !
やる気だと ?
やる気がなくてもあっても、
オマエは悪ポイントを、
なくさないといけないんだぞ!
さもないと、オマエは ... 』
「 ... はい、
どうなりますか ? 」
『 あ ... まぁ ... それも ... 』
「 なんですか ? それ ! 」
『 ウルサイ ! 誰に
コチゴタエをしているんだ !
さっさと謂うことをきけ !
愚か者 ! 』
「 ... はい ... 」
『 ... あ ... すまん ! 少し、
取り乱したな ...
キツイ、言い方をした ... 』
「 ... いえ ... 」
『 ... では ! オマエには、
ヒト助けをしやすい様に、
早く走れるし踏ん張れるから、
4本足を授けよう、そして、
誰からも好かれる、
チャーミングな貌と、
雨の日にはミノガサにもなるし、
寒い日にも、困らぬように、
フサフサのダブルコートの
毛並みと、暑い時には、
夏仕様になる、生え変わりの
性質も加えてやろう ... 』
「 優しいんですね でも ...
だぶるこーと ? 生え変わりの
性質 ?」
『 あぁ ... 春と秋、の、
衣替えのようなもので、
体温を調整し、より、
快適に健康に、
夏や冬を過ごすためには、
とても、
有効で、ま ! オマエは、
着るモノには困らないぞ 』
... ふ ... まぁな ... ただし、
オマエは、
なにかと、口うるさく、
メンドクサイ。
それでは、周りの者を、
ふりまわし、
煩わせるかもしれんな ...
よし、口達者で、
交渉術も長けているよう
だが、その 「 術 」は、
使えないようにしてやろう ...
「 ... はぁ ... 衣まで ?
そこまで ?
考えていただけて ...
4本足で、
『 だぶるこーと 』で、
『 ちゃーみんぐ 』?
な 貌 ... 」
『 あぁ ...
まぁ ... がんばれ !』
「 ... はい 」
... なんだか ...
初めて聞く言葉ばかりで ...
混乱するな ... しかし ...
これからも、多くの者に
接することになるだろうからな ...
ま、いままでも、覚えて、
使える言葉は増えてきたし、
ここでもそうやって、
皆を説得してきたし ...
… なにごとも、対話は大事 、
そのためにも、新しい言葉は、
使えるようにならんとな ...
あとで、検索 しとこ...
鈍い者、と、
間違われるのも困る …
… そうだな、
ソレヨリモ「 悪ぽいんと 」
を、なくさないと ...
自分がどうなるのかが
解らない方が恐怖に
感じる ...
... それに ...
私の考えが足りなくて、
多くの者を苦しめたのなら、
それは、本意ではなくても、
申し訳ない気持ちは大きい ...
... だから ... 頑張らなくては ...
『 ドドドドドドドドド ... 』
「 ぅお ----- ! 」
―
…ニコニコ!
「 お疲れ様で
ございました 」
『 あぁ ... ま、信じたよう
.. だな ... しかし ...
おぅ ! そうだ ... なぁ、
たまに、な ... ご苦労だが、
アイツに差し入れして
やってくれ、たしか ...
アイツはナス ?
好きだったダロ ... 』
「 はい ! 」
... 大王様ぁ 〰 ...
御心遣い、御優しいぃですぅ ...
その、御心、御美しく、
温かい、 癒される、
サスガ ... ここ「 保養地 」の
「 ザ・ルーラー ! 」
総支配者のお立場の御方ですね ❣
... す・て・き・で・すぅ ❣ ...
あ … 皆さまも、お付き合いの程、
! お疲れ様でございました !
―
~ こうして、
昔、大物だったこの男は、
日光の山奥 ? から
出てきて、派遣された世で、
ヒトビトを 助ける者となる ~
「 ... アン ! アン ! ... 」
... ん ? ... あれ ?...
... え ? この聲 ?
なんでだ、喋れない ぞ! ...
... おお~ !
こ ... れでは、
相手になった者との対話が ...
交渉、説得が、
できない ではないか !
おぉぉぉ これ ?
このカラダ ? ぅわ~!
こんなにぃかぁ 〰 ⁉
変わりすぎぃ ! ダロ ...
て ? これ ... ? ...
どうするんだぁぁぁぁ ...
そうです !
彼は、タヌキではありません。
柴犬! 赤柴の ...
『 はぁ ~? 』
―
このお話は、
生まれながらの性分で、前時代的
な!のりの男が、子供に還って …
初心に戻り?
一途な真面目すぎる正義感で、
頑張るお話です。
彼は、誰もが凍え、
自然と猫背になる寒い冬のときには、
自らの
ダブルコートの毛並みを活かして、
己の体毛でミノガサを作り、
外には誰もいないような囂々と吹き
つける吹雪の日でも、
頭に雪を積もらせたままで、まん丸
な目を細め、カラダをはって自主的
に定めた彼の管轄を走り回り、
ガツンと圧のある、呼吸するだけで
も胸が苦しくなるような、夏の猛暑
の日でも、外に出て、
虚ろになる意識の中、懸命に、
お役の為に、ウロウロと、
パトロール巡回をいたします。
そうなのです、彼は、
365日、全力で頑張ります。
―
… アン アン ! …
... イヤイヤイヤ こ !
れ ? は? で?
アンタ誰 ?
チッチャ !
へ? なに ? なんで ?
茄子もってきた? ...
.. ガサゴソガサゴソ ..
... う ! しかも、なんだ ?
コレ ? どぅ 〰 して ?
『 輿 』じゃないし、
紙 箱 ? の中 ... に ?...
... ジタバタジタバタ ...
... ガサゴソガサゴソ ...
... トコトコトコ ...
… あ ? 誰か 来たのか? …
ガサッ! ...
... ガサガサッ ...
... ガサゴソ ...
... シャシャシャ ...
⁉ " なんだ? だれだ? ” ⁉
… アン アン …
… アン アン …
… パサ!
「 ぅわ~、かわいいぃ~!
あれ ... どうしたの ?
来たばかりで、パニクッ
てる ?
ここが君の家だよ!
初めまして! ぼくは ... 」
… アン アン …
… アン アン …
?... ここはどこだ ?
オマエは誰だ ?
私は?
コレから出られ ...
… ひょい!
「 … カワイイィ-------- !
ぅわ~あったかいなぁ!
だっこさせてくれてありがと!
ん? 一生懸命に何か?
言ってる ?
そうだよ !
ぼくが君のバディだよ ❣ 」
… アン ? …
? ... ぁあ ? ...
「 ばぁでぇぃ 」 ? って、
名か... 髪色が、私の
カラダの毛と...
同じ ? で ... 異国の者か ?
此奴 ... が ...
この者を助けろ ? と?
ここは ? ... 異国でか ...
ずいぶんと
守備範囲が広いな ...
…アン!アン!…
「 ハイハイ ! ンンン ?
カワイイケド ...
この子 ? たぬき?
みたいだ な ❣ ... 」
―
... ふっ ... まぁな ...
元の姿が ...
小太りだったからな ...
... え ?
そ ? そうですよ!
きっと、きっと、
大王様の所為じゃ ...
ありません ...
―
… アン アン ! …
… しかたないなぁ …
… この世で頑張るしかなさそうだな
… ぅんぅん!
…サササササ!
… はい!
では気を取り直して…
殿!頑張りましょう!…
… だから誰アンタ! …
―
… アン!アン!…
~ ちゃんと視ておかなくっちゃ、
ボクがこのお庭を守るんだから!
うーん大丈夫かなぁ ~
彼は、
足が極端に短くて、前から見ても、
ㇵの字、の変なところから?
足が伸びているように見えちゃう、
だから?バランスが悪く、
…アン?…
駆け出しても、
思うほど、速くなく…
…アン!アン!…
なんだか、
モタモタしてしまう赤柴犬です。
…アン!…
多少、太めで …
タヌキ?顔、だからなのか …
… アン?…
「 赤柴です!」っと、そう、
名のっておかないと、時には、
ほかの動物の仲間と?
間違われてしまうのです。
彼は、
新しくできた街の中にある、
小さな家の、小さな庭、の、
その庭が、
周りにいるチッチャな動物たちの、
「寄り道」の?場所になっている、
その家の子、で、
小学3年生の
ノリ君のバディです。
…アン!アン!…
彼は、家の中で飼われていますが、
いつも、
この家の小さい庭が気になるので、
家の中から、
そんな外が一番よく視える、
リビングの、
大きな掃き出し窓の近くを、
ずっと、チョロチョロ、
ウロウロしちゃっています。
まだまだですが、もうこれは …
この世の中では見なくなった、
「オカッピキ」として?
意気込みを?感じさせます。
…アン!アン!…
おや…
ノリ君の家の前の道路から庭への
アプローチに整えられた石畳を、
我が物顔で、貫禄を出し、
ゆっくりすぎる感じで横切って
いく? 22lb?程?ですか、
これは … たぶん、
10㎏くらいの、太っちょな、
山吹色と白色の毛並みの、
オジサンのブチ猫さんです。
こんなに見事にムックリと肥れる
ものなのですねぇ、時々、
見かけますが、
今日は、
朝一番にやって来ました。
猫ちゃんだけに、
足音は聴こえないのですが、
真ん丸だからドスンドスン!
って?
感じが出ちゃってる歩き方で、
マイペースにノソノソと、
ゆっくりだけど、
堂々と?しています。
それがまた、まだ、家の中にいる、
外に出られない彼を、
ブチッ!と、
警戒モードにさせているのです。
…アン!アン!…
~ 駄目ですよ、
そこはお母さんが、朝一番に、
掃除をしたばかりじゃありませんか、
やめて下さい!ほら、あなたのその
太っちょなシッポ! また、生け垣の
落ち葉をバラバラにしちゃったじゃ
ないですか!~
…アン!アン!…
~ もぅ、どうしてそんなに、
スマシタ顔で、ワザワザ
お庭を散らかすんですか、
ダメです!あのね、ボクは、
その様な行いは許しませんよ!~
…アン!アン!…
~ もぉ!せっかく、
お母さんが、掃き掃除を
終わったばかりなのに!~
…アン!アン!…
~ 仕方ありませんねぇ、も!
ここを通るのなら、
少しは気をつかって下さいね … ~
彼は今、
見張りをしている、リビングの窓ガ
ラスをガリガリ引っ掻きながら、さ
も当たり前のように、庭を通り抜け
ようとしている、太っちょなブチ猫
さんに懸命に訴えています。
でも、そんな事、
全くお構いなしに、
このブチ猫さんは、そのシッポで、
ワザワザ、庭を散らかしながら、
ゆっくりと、そして堂々と、
彼の目の前を通り抜けていくのです。
このブチ猫さんは、
大物なのですよ、
先日、日が落ちて、
もう庭は真っ暗な時間に
なっていましたねぇ …
そんな時間、に、
オカッピキな彼は
不覚にも気づきませんでしたが …
彼がいつも見張りをしている
その窓をお母さんが網戸にしていま
したから、
リビングに置かれたテレビから出る
賑やかな音や、
隣のキッチンでの食事づくりの、
ガチャガチャ!と食器などのぶつ
かる音に交じって、
「みゃぁぉ…」って、か細い、
鳴き声が …
まるで、
誰かを呼んでいるかの様でしたの
で、そちらの様子を見てみると?
このブチ猫さんが、
リビングの、すぐそこ、
テラスのところに、
丸みのある「猫背」で、ドッシリ と、
後ろ足を曲げて「正座」する様に座り、
これまた、
ぶっとい前足を、窓の下枠に伸ばして
今にも、網戸を スゥ〰!っと、
そっと、静かに自分の手?で
開け様としているのです。
すっかり、庭には明りが無く、
そんな時間じゃ… 真っ暗なので、
静かすぎるそれ!
それが、ブチ猫さんとは?
この家の中の者は、全く、
気づきませんでしたよ。
お見事です!
ワザワザ、声を聴かせて、
でも自分の気配を隠せるなんて…
それも …
中に入りたい?のではない様で …
大物役者ですよね。彼なんて、
オカッピキモードは解除されてたので、
リビングに居ながら最後まで、
全くこのブチ猫さんには?
気づきませんでしたからねぇ。
それどころか
ご機嫌で、おちゃらけながら、
目の前の、お気に入りの、
テニスボール転がしに、集中で!
タタタ… タタッ!
夢中になって、
ゴロンゴロン転げ回って …
まぁ、
彼のそんな天然なところを見透かされ
て、ちょっと油断していたところを、
揶揄われて
しまったのでしょうか …
でも…?
これは…もしかしたら …
『 ご挨拶 』それとも …
こんな彼なので、心配をしてくれて …
その様子見に …
… 静かなこれは、
『見守り』なのでしょうか …
いつも、彼にあんなに騒がれても、
気に留めず毎日この庭に登場して …
居ますからねぇ …
そうですよねぇ… ですから …
このブチ猫さんは、それからも、
この庭を、ノソノソと、ゆっくり、
当たり前の様に、
通り抜けていくのです …
…アン!アン!…
あれ …
ようやく、
ブチ猫さんが通り過ぎて行ったか
と、思ったら?
彼はまた、
何か、気になってしまった様です。
タタタ… タタッ
こんどは …
リビングの見張り窓のところで、
ジタバタと、
オカッピキモードを全開に、彼の
小さな三角形の耳が ピィーン! と
立っています。
この耳は、彼の気になる音が、
どこからか聞こえると、
左右、それぞれが別々の動きで、
気になる方と、
気にしたい方とに自由に動きます。
いま、彼の耳は、右側が庭の方に、
左側がノリ君の部屋の方に向いて
ピクピク! しています。
…ピィ~ン!…
…ピクピク!…
…ピクピク!…
…アン!アン!…
タタタ… タタッ
~ あっ、まただ!
この鳴き声は…
今度はカラス君だ、も~!
やめて下さい!~
…アン!アン!…
~ あぁ―、なんでかなぁ、
ボクは、ここを守らなくちゃ
いけませんから、困るんです。
勝手な事をしないで下さい!~
タタタ… タタッ
…アン!アン!…
~ あーぁ、それは、
お母さんとノリ君が、
大事に育てている、
ブルーベリーの木じゃ
ないですかぁ、
うわぁー!せっかく、
楽しみにしている、実を、
そんなに簡単にパクパク
食べないでください! ~
…アン!アン!…
~ ノリ君だって「そろそろだね!
今日かなぁ、明日かなぁ…」って
摘みとるのを楽しみにして
いるんですから … ~
…アン!アン!…
タタタ… タタッ
~ カラス君、
やめて下さいってばぁ~!
どうしたら善いのかなぁ、
困ったなぁ~、ボクのこと、
分かっていますか?
ボクが、このお庭を
守っているんですってばぁ~ ~
なんと今度はここからほど近くの、
こんもりと、木々が寄り集まった、
小さな森から飛んできたカラスが、
狙いを定めて?
この小さな庭にある、たった1本の、
ブルーベリーの木にわずかに実った、
お母さんが、一粒一粒、大切に手入
れをしていた実を盗みに来ました。
本当に、お利口さんです。
ちゃんと、甘酸っぱい味を
知っているかの様に、
見事に熟した実だけを選んで
咥えています。
このカラスは、この街に残された、
わずかな緑の中で暮らしています。
そこには …
ずいぶん昔から踏ん張っている、
大きなクヌギの木があります。
ノリ君は、ときどき、ドングリの
独楽を作るために、まん丸い実の
中でも重心の安定した、
コロンコロンとした、ドングリを
とりに訪れたりもするところです。
ドングリって、
いろいろな形があるのですね。
コナラのドングリは、小さくて
細長い実で、
ポツポツのある帽子をかぶってて、
やっぱり細長い実の、アカガシの
ドングリはシマシマの帽子をかぶ
っている様ですね、
なかには、
双子のドングリもいたりします。
どんぐりの種類は、日本固有種
で20種以上もあるそうなので、
比べてみるのも面白そうです。
あ …
このカラスは、彼が家の中から、
いますぐには出られないことを
分かっているのです、
だから、
さほど、慌てることもなく、
ジックリと、時間をかけてまで、
ちゃんと美味しい実だけを選んで
いる様で、
いまは、この家の、一番高い、
2階の屋根にちょこんととまり、
顎を突き出し、首を伸ばして、
左右に肩をユラユラしながら
見下ろして?なにかを楽しみ?
ながら、物色しています。
そうして …
2mもないブルーベリーの木に、
何度も バサバサッ! っと、
飛びついています。
そんな目にあっているまだ細い
ブルーベリーの木は、
堪ったものではありません、
その勢いに堪えられない様に、
限界!まで、
今にも折れそうなくらいに、
実の付いた枝を曲げられて …
痛々しいくらいです。
…痛い…
…痛いです!…
…!
…アン!アン!…
タタタ… タタッ
彼はそんな、
スマートすぎる、カラスの為業を
見つけると、またまたオカッピキ
モードで家の中から大声で叫んで
いますが、
でも …
その鳴き声だって、
ワンワン!と?
覇気があるような鳴き声でもなく
うぅ―ぅう!と、迫力のあるもの
でもなく ガルルルル!と、恐い
ものでもなく Bow wow!でも
Woof woof! でもなく …
… アン!アン!…
ですから …
カラスにはやはり、
効き目が全く、ありません。
…アン!アン!…
…アン!アン!…
でも … そんなこと?
叫び続ける彼だって承知しています。
それでも、気持ちはワナワナして、
ジタバタと自然にカラダだって動い
てしまうのです。
タタタ… タタッ
…アン!アン!…
…アン!アン!…
あっ!突如、彼は振り返り、
バディのノリ君の部屋に急ぎます。
ノリ君に知らせて、
自分を庭に出してもらうためです。
なにせ、
彼は自分では、ドアや窓を開けて
外に出られませんから …
…アン!アン!…
~ ノリ君、急いでボクを、
お庭に出して下さい。
ボクの「仕事」です。
ボクはお庭を守るんですから!
ねぇぇぇぇ!
急いでくださいぃぃぃ … ~
けれどノリ君は、それとは対照的に、
ゆっくりと起き上がり、そっと、
彼に近寄ると、
「 あれ、また?
お庭に出たいんだね、
そんなに慌てないでよ、
分かってるよ、
いま、出してあげるから、
大丈夫?」
自分の部屋で、
寝っ転がりながら漫画をみていた
ノリ君は、
彼の慌てブリをみても、いっしょ
に慌てることはありません。
彼の性分が分かっていますから …
ただ …
彼がケガをしないかが心配なのです。
だって、
彼は大事なバディなのですから。
???
???
「 なんで、そんなに …
お庭が気になるのかなぁ?
良いじゃない、
みんなと仲良く、
お庭で遊べばいいのに …」
…アン!アン!…
ノリ君は、
ジタバタと興奮する彼を小脇に抱
えながら、ゆっくりと庭に向かっ
ています。
彼の慌て様とはおかしなくらいに、
正反対の様子です。
そうですね …
少しでも、彼を、落ち着かせ様と
しているかの様です。
彼は、それでも、興奮したまま、
ノリ君に抱かれたままでも、
短い足は、走っているかの様に
ジタバタとバラバラに動いちゃ
っています。
… バタバタバタ …
… アン!アン!…
~ 良いんですよ。これは、
ボクの仕事なんですから、
ノリ君には関係ありません。
ですから、ボクをお庭に
出してくれれば良いんです!~
…アンアン!…
~ あーあぁ、でもノリ君、
なるべく、早く、です。
やっぱり、
早く、お願いします。
だって、
早く行かなくっちゃ !! ~
…アン!アン!…
オカッピキな彼の臨戦態勢は
マックスです。
でも、どうなる事やら …
…アン!アン!…
~ 今日こそは、カラス君に
負けませんよー、
ボクは、絶対に認めません。
ここでは、あなたの勝手は、
ユルシマセン!~
…アン!アン!…
~ いいですか、ちゃんと、
理解してくださいよ、
お母さんは、いつも、いつも、
朝早くからお庭掃除をして、
庭の木たちに毎日お水をあげて ~
…アン!アン!アン!…
~ 懸命に手入れを欠かさず、
大切に、庭の草花を、木を、
育てているのです。
ですから、そんなに、
勝手なことをしてはいけません。
カラス君、やめて下さい!
いけませんよぉぉぉ!~
やっと …
事件現場に到着できた彼は、勢いに
乗ったまま休むことなく、高い屋根
の上で、顎を伸ばし、ツン!とスマ
シテるカラスに訴えかけています。
あまりの大声にカラダは前後に動き、
ピョンピョン!と、ジャンプ!も加
わり、シッポはブンブン!ものすご
い勢いです。
…アン!アン!アン!…
…アン!アン!アン!…
タタタ… タタッ!
そんなに口が開けられるのか、と、
ビックリするほど、大きな口を開け、
…アン!アン!アン!
地上6mほどの、カラスと同じ色、
黒色スレート瓦屋根に向かい、
いまもとぼけた様子のカラスに、
絶対に届け!と、叫び続けてます。
…アン!アン!アン!…
…アン!アン!アン!…
タタタ… タタッ!
凄まじいとのことは、このこと、
いつ彼は呼吸をしているのでしょう、
そんなに休みなく吠え続け …
…アン!アン!…
…アン!アン!…
…アン!アン!…
タタタ… タタッ!
あーあ、でもね …
やっぱり、カラスが一枚も二枚も上
ですかねぇ、
なんてったって、賢いから、
「駆け引き」ができますものねぇ、
それに対して、
彼は、前進と後進、一直線には
動いてはいますが …
いつも「真っすぐ」な、だけ、
ですからねぇ …
タタタ… タタッ!
…アン!アン!…
…アン!アン!…
タタタ… タタッ!
そんな、
カラスは2階の屋根の上から、
また、トボケタ、キョトンと
した顔で、
彼とは、
「同じじゃない」余裕のあるニヒル
な横顔まで魅せます。それも、目を
細めて、首をかしげ、
「なんで、そんなに騒がしいの?」
なんて感じで、
…ニヤっ!
…アン!アン!アン…
庭のブルーベリーの木の前に、
陣取っている彼を、高い処から、
見下ろして、眺めています。
『 ククッ… 』
…アン!アン!アン…
カラスは、
チャンと!相手を視て、
その間、停まって、
考える事 ができるんですね …
ですからどうでしょう …
それとも、
やっぱり、小さい庭の地面レベル、
グランドラインが縄張りの彼と、
空まで手に入れた、
その広いテリトリーを持つカラスの、
4足小動物と、
翼をもつ者との「差」ですかねぇ、
哀しいかなぁ、彼の叫び!はカラス
には?ゼンゼン届いていない様です。
…アン!アン!…
…アン!アン!…
そんな …
にらみ合いが数分程経ちましたか …
そんな緊迫した、臨戦態勢 …
先に動いたのは、
余裕にみえたカラスの方でした。
バサッ、バサッ!っと、ワザワザ
騒々しい羽音を、彼にはこの音を
出せないでしょうと云わんばかり
に響かせて、
颯爽と急旋回し、
ヒュ――! っと、
小さく見えている彼の、鼻先、
スレスレのところを通過しました。
… バサバサバサッ!…
うぅ―ん、凄いですね …
… お見事です …
… アンアン
… キャン …
タタタ … タタッ
… アンアン …
… アン!アン!…
タタタ … タタッ !!
… アン!アン!…
… アン!アン!…
これが、
このカラスの得意な、
「体当たり作戦」の
フェイントですかねぇ、
それにしても、
カラスって身体が大きいですねぇ、
その下で、チョロチョロする彼が、
一瞬、見えなくなるほどです。
このカラスは、
羽を広げるとその幅は90㎝ほど。
体重は、3lbほどで、
1㎏ちょっとくらいですかねぇ、
それに対抗する、彼は、
体重では勝っていますけど、何せ、
ジャンプをしてもゼンゼン低いので、
けっして攻撃にも防御にもならずに、
守備範囲の広いカラスには、
体当たりもできません。
やっぱり、分が悪いですよねぇ…
…アン!アン!…
…アン!アン!…
タタタ… タタッ
彼は休まず、
ずっと叫び続けながらも、
カラスのあまりの俊敏な攻撃に、
ズリズリッ!っと、元気に吠え
続けるワリに?
後退してしまいました。 あぁ …
… アン!アン!…
… アン!アン!…
すると、どうでしょう、
彼のお尻には静かに見守る、
ブルーベリー枝が、ツンツン!
と、突きあてられて、これは、
… アン!アン!…
… アン!アン!…
タタタ … タタッ!
そうですね、動けないけれど、
彼を応援しようと?
ブルーベリーの木も、後押しを
しています。
そうです、
彼は、お母さんのためにも、
ノリ君のためにも、
このブルーベリーのためにも!
このカラスに、
負けるわけにはいきません。
…アン!アン!…
タタタ… タタッ!
…アン!アン!…
…アン!アン!…
彼には、いま、
いつも楽しそうに庭の手入れをする、
お母さんの優しそうに微笑んだ顔や、
嬉しそうにブルーベリーの実を摘む、
ノリ君の、
はにかんだ笑顔が頭の中に浮かび、
その家族を守る?ため、
力を出し切り!
叫び続けて頑張っているのです。
『 カラス君 ‼ ダメです‼ 』
タタタ… タタッ!
…アン!アン!…
…アン!アン!…
あら、ら?でも …
大人なカラスの対応でしょうか …
2階の屋根に陣取っていたカラスは、
ピョン、ピョン!と、何度か屋根の
上で小さくジャンプしたかと思ったら、
森の方へ飛んで行ってしまいました …
なんですか …
意外にアッサリしていましたが、もう、
飽きたのかもしれません。
しっかり、美味しいところだけ、
食べていきましたし …
… カラスってそんなもんですよね …
『 … かぁ~? 』
彼の方はどうでしょう、
ノリ君も心配していましたが …
あまりにウルサイと、いつも、
叱られるのは、彼、なのです …
…アン ❣ アン ❣…
~ ふぅぅぅぅ!
カラス君は退散ですね!
ボクの話を
分かってくれたんですね、
良かったです! ~
??? ???
まぁまぁ …
そういうことで …
彼がいま、
気になっているのは、
ノリ君の家の、
この小さな庭の平和なのです。
まだ、
ここしか、知らないのですし …
ここが彼の全世界なのですから、
だから、こんな小さい?ことで …
そうです …
ノリ君の家族、お母さんにしても、
この家の事、と?
家族が住む、この町の中の事、
だから、お母さんは、今日の、
スーパーの特売品が最重要ですし、
ノリ君は、
自分が通う小学校の担任の先生
の、ご機嫌が、毎日、一番!の、
気がかりです。
皆、そうなのですね …
自分が、
いつも一番長く過ごす場所の事は、
頭の中が、イッパイになるくらいに、
気になるんですねぇ、
よそ様からみたら、
それが小さな、些細なことでも …
…アン?…
まだまだそんな、小さい彼ですが、
これから、ダンダン大きくなって、
ドンドン、と、
いろんな所に、往ける様になると?
もっと、
世界が広がっていきます。
そうしたら …
こんな、小さい事?も、
気にならなくなるかもしれませんね。
いろんなところで、きっと、
ワクワクする事が待っていますから …
おやおや …
これはどうでしょう、
静かになったと思ったら、彼は、
もう、満足しているみたいです、
ケロッ!としてオカッピキモードは、
OFFになっています。
庭の隅の水飲み場近くで、
ゴロンと身体を横にして、
エキサイトしたカラダを冷やすため、
クールダウンして休憩しています。
… はぁはぁはぁ …
… ズリズリ…
いまは、フセ をしていますね。
お腹を地面につけて、
冷やしているんですね。
かなり、興奮したので、
呼吸はまだ少し、
ハフ!ハフ!していますが …
… ズリズリ ❣…
この、
水飲み場は、
彼が庭の中でも居心地の良い、
と感じる、芝生の部分の、
隅っこにありますが、こんな
小さな庭の水飲み場でも、
好んで集まってくる、
足が細長いショウリョウバッタさん、
オスを背なかに乗せている事もある
オンブバッタさん、
怒ると羽を広げるオオカマキリさん、
チョッと 突くと
まるまるダンゴムシさん、
そんな、
小さい生き物だけでも賑やかですよ。
そうですね、そんな、
小さな生き物、の、中で …
テントウムシさんは、
生垣の葉にいたアブラムシを食べる
のでお母さんから感謝されています。
…パチパチパチ!
このテントウムシさんは、先日、
散歩に出かけた遊歩道から、
彼に、チャッカリ、とまって、
この庭に来たのです。
... ピタッ ❣
落ち葉や種、虫 … と、けっこう、
様々な者が、
彼のカラダ?モフモフの毛の中に、
くっついて隠れてついてきますが、
… アン? …
テントウムシさんをお連れした事は、
彼の「お手柄」‼
お母さんの、お役にたちましたね!
…アン ❣ アン ❣ …
このテントウムシさんは、
赤紋が2つのナミテントウさんです。
黒い斑紋のタイプでは、農作物の害虫
といわれる、オオニジュウヤホシテン
トウもいて区別は難しいですケレド …
テントウムシの斑紋は彼らのチャーム
ポイントですが、種類が多いのでその、
研究をしている人がいるくらいです。
こんど、
私もテントウムシの斑紋について注意
しながら観察してみ様と思っています。
…アン!…
彼は、
水飲み場を独占しないで、そんな昆虫
たちの邪魔をすることもなく、仲良く
水飲み場を共有しています。
そうそう …
そこの水飲み場の近くには毎年、たく
さんの柔らかなレースの様な、可憐な
花を咲かせてくれるムクゲの木が居て、
そこを守っていますが、
この木は、
いつも冬になる前までに、小さく切っ
ておいても、すぐにまた、ものすごく
速く成長します。
春になると、
忘れることなく成長が始まり、
暑くなるころには、また、
美しく上品な、優雅な薄桃色
の花を、たくさん咲かせます。
この木には、
その花を好む、小さくて、
テカテカに光った
コガネムシさんたちや、
3mmほどの黒ゴマの様な、
1列にきちんと並んで、
速足で進む蟻さんたちも、
巣穴から甘い香りのする
この木の幹にまで長い列
を作っていたりします。
彼らは、常連客です …
それに …
そのムクゲの木の、もとには、
後ろには下がる事ができない、
その … ぎこちない動きの …
ロボット?の様な、
ブリキのおもちゃ?の様な、
でも …
よく視ると …
かなり小さな恐竜の様な?
ワニの様な?
カナヘビさんが出てくるのですが、
ちょうど、この日の様に …
太陽が元気な、
チョッと暖かい日、に …
ほらほら あそこに …
このカナヘビさんは、
何歳くらいでしょうか …
1年前よりも一回り大きくなって、
シッポの先までだと 20㎝ 程で、
かなり …
去年よりも存在感が出てきました。
シッポも、とても長く、どんどん
立派になっていきますが、
その性格は …
多少神経質な、でも、
穏やかな性格な様で、
庭に登場するときは ササッ!っと、
出てくるのですが、その後しばらく、
は、
ジ ―― ッ!と、してて動きません。
まるでゼンマイ仕掛けみたいに、
勢いよく動き出したかと思ったら、
急に、パタッ!っと、止まったり?
それ … 周りの様子を視るのに、
時間がかかるためなのでしょうか …
それに、
カナヘビさんから見ると、
ずいぶんと大きなカラダの彼が、
近くに寄って、そんな、
ロボット顔にくっつきそうに、
クンクンクン ❣ と、
鼻先を近づけても、
しばらくの間どころか、
… ぴたっ!…
… じぃ〰!…
ずっと!固まってて、動きません。
ですが …
やはり、気に障ったのか …
突然、
バタバタバタ―!と、
両手足をバラバラにバタつかせ、
その長いシッポでのけ反らない
様に? 舵を取り走り出します。
…⁉
…パタパタパタ…
そうして、
1mも進まないうちに、また、
パタㇼっ!と、ピタり!と、
動かなくなるのです。
これを、よく繰りかえしています。
… アン ❣ …
彼は、
そんなカナヘビさんが、
大好きな遊び相手で、
今日も、
さっそく見つけると、嬉しそうに
シッポをフリフリしながら鼻を近
づけ、ちょっかいを出しています。
…クンクン…
…ツンツン…
…タッタッタ ❣ …
…タッタッタ ❣ …
…タッタッタ ❣ …
あっ …
彼は、
お気に入りの、テニスボールを咥えて
持ってきたかと思ったら? カナヘビ
さんの目の前に、ポトン! と、落と
しました。
…アン ❣…
タタタ… タタッ
でも …
これは、どうでしょう、
いっしょに?
このボールで
遊ぶのには無理がありますが …
… アン ❣ …
… アン ❣ …
… ムリムリ
先ほどの戦闘モードで、カラスと対峙
した時とゼンゼン違うお遊びモード?
の様ですね。
… アン ❣…
タタタ… タタッ
一見、
傍から見るとカナヘビさんは迷惑そう
ですが、彼が庭に出てから、しばらく
すると、カナヘビさんも出てくるので、
この頑なな?堅い表情から察するのは、
難しいのですが、
カナヘビさんの方でも、この時間を、
楽しんでいる様にも感じられます。
彼が纏わりついても逃げ出さないで、
そこに居てくれますから。
… アン ❣ …
タタタ… タタッ!
彼は
鼻先でテニスボールを転がしながら、
ピョンピョン跳ね回り、とても、無
邪気です。
カナヘビさんは
キョトンとしていますが、
あと何年かして、
もっと、カナヘビさんが
おっきくなったら?ボール遊びも?…
… アン ❣…
… アン ❣…
??? ??? ???
… ダカラ … ムリムリ …
ゼンゼン
ボールの方が大きいから …
ですからねぇ …
… アン ❣ …
… アン ❣ …
まぁでも …
これは、それなりに、
カナヘビさんと遊んで
いるのですね、
そうそう、
彼が、先ほどみせた、
オカッピキな「戦闘モード」は、
これは、彼の、意外な一面なのです。
なにせ、彼は普段、穏やかなのです。
この家にどなたかが訪ねてきても、
警戒して、
ワン!ワン!と、
騒いだ事がありませんし、
お客様からは、
「 あら、
番犬にならないんじゃない? 」
なんて、呆れられたり、も、
しています。
それに、彼がエキサイトする相手は、
今のところ、決まっているのです。
先ほど、登場した
① 健康管理が問題なブチ猫さんと
② 性格に問題のあるカラスさんと
③ 物分かりが悪い、
野鳩さんの夫婦だけです。
… アン!…
… アン!…
彼の普段の生活は、
それがこの種の特性なのか
どうなのか分かりませんが、
昼寝をしている時はなにがあっても、
全く動かず眠り続けている暢気者です。
彼の、
やたらと抜けるフワフワな毛のために、
お母さんは日に何回も掃除機かけをし
ますが、
… アン ❣ …
…ガ 〰!…
…ガ 〰!…
自分が寝ている時には、そんな、
掃除機で突かれても、
そのままの状態を貫き、寝たま
まで、 起きません。
… zzzzzz…
… uuu …
… ガ 〰!…
そんな時は、
お母さんも、からかう様に?
掃除機の吸い込み口をお腹や背中に、
シュポッ! と、あててみますが、
まったく動かないのです。
… しゅぽ しゅぽ しゅぽ 〰 …
… zzzzzzzzz .。o○…
なんだか …
まるでマッサージをされてると、
勘違いしているのですかね、
なのでしまいには、
… ガ〰!…
… ガ〰!…
その音が結構響いていても?
お腹を上に向けてダラ 〰 ん と、
へそ天しちゃっていますもの。
脱力のまま寝ています…
….zzzz…
…zzz…
…uuuu〰… ….zzzz…
フフフフ♪お母さんに、
甘えちゃっているのでしょうか …
… アン ? ...
… アン!…
… アン!…
あれ …
忘れてませんでした、ね、どうやら、
その、メンバーの、
野鳩さん夫婦が庭にやってきました …
この野鳩さん夫婦は、
いつもは、朝、早い、のです、が …
先ほどカラスさんがいましたから …
ですから普段は、
ノリ君の家族がまだ就寝中の、
朝5時前には、
小さな庭の、コニファーの木、の、
エレガンテシマを、目がけてやって
きますが、
野生の野鳩は用心深く、すぐには、
他人に、その姿を見せません。
… アン!…
先ずは、
お隣の屋根にとまり、そこから、
ノリ君の家の下屋庇にとまります。
… アン!…
それも、
雄の野鳩さんだけで、その、奥さん
の野鳩さんは、少し離れた電線にと
まって、しばらく、庭の様子をうか
がっています。
あまりの用心深さで、まだ、家の中
にいる、彼が気付くのは、大抵は …
… アン!…
… アン!…
野鳩さんが下屋庇から?
ホッホウ!ホロッホウ!と、
かなり、大きな声で、少し離れた処に
待機している、奥さんに呼びかけて?
からです。
今日は、
用心して、
今頃になって登場したみたいです。
せっかくの、
彼のリフレッシュタイムの昼寝は、
野鳩さん夫婦の登場で、残念ながら、
ここで、終わってしまいました …
タタタ… タタッ!
…アン!…
…アン!…
~ あー、野鳩君!またですか?
何度言っても分かりませんね、
ほら、小枝を落としていますよ、
そこは、 駄目ですってば … ~
… アン!…
… アン!…
~ そのエレガンテシマはね、
枝葉が柔らかいから、
そこにあなたたちが巣を
つくるとね、
巣作りの小枝がちょっとした、
天気が悪い日にも、風や雨で
落ちてしまうじゃないですかぁ ~
… アン!…
~ 前にも、小枝と一緒に、
可愛らしい、大事な大切な、
小さな卵が一つ
落ちてしまったでしょう... ~
タタタ… タタッ!
…アン!…
~ 大変なことですよ!
忘れちゃったんですか?
ですから、そこに、
巣をつくっちゃたら
駄目なんですってばぁ!~
… アン!…
… アン!…
そうですね、
野鳩さんは毎年同じ頃に、
この場所に巣作りに来るのです。
もう、
5年くらいになりますよ。彼よりも、
ゼンゼン、先輩です。ですがなぜか、
軟弱な場所に巣を作ってしまいます。
野鳩さんたちは用心深いのに、
これは、不思議な事です。
コニファーのエレガンテシマの木は、
成長がはやく大きな木に成りますし、
細い葉のわりには、密集してて、
そんな木の中に、は、
「巣」が、
スッポリと隠れることができます。
が、あいにくと、その葉や、枝は、
柔らかすぎるのです。
それに、その木のある場所は、
ちょうど、
建物と建物の間 …
そこは、
強い風が吹き抜ける場所ですから、
柔らかい枝葉は、雨や風に耐えら
れない様で、
なので、
彼が心配するのも分かります。
この野鳩さん夫婦は、今までにも、
何度も巣作りに来ていますが、
そこで誕生した雛を、みたことが、
ないのです …
これは、どうしてあげたら?
良いのでしょう…
ですから、
彼は、そこに巣を作らせない様に
と、考えました。
巣作りのために訪れた野鳩さんを、
コニファーに近づけない様に訴え
続けているのです。
ですからこれはしばらくの間、
毎日の様に、
野鳩さんが、お利口さんになって、
あきらめるまで、 続きます。
タタタ… タタッ!
… アン!…
~ 野鳩君、ボクの様子を
うかがいながら、
遠まわりをしても駄目ですよ、
もう、今日は、カラス君といい、
君たちといい忙しい日ですねぇ ~
… アン!…
~ ナンデですか?
何日も、何日も、
ボクは、説得をしている
じゃないですかぁ ―!~
タタタ… タタッ!
… アン!…
… アン!…
~ 君たちは、
早く、安全な場所を
探してくださいよ、
お願いしますよ、ねぇ…
聴いてますかぁ ―! ~
野鳩さん夫婦はキョトンと首をかしげ
ていますが、彼の踏ん張りに、今日の
ところは夫婦そろって、庭から離れて
いきました。
彼の、こんな真っすぐな気持ちは、
ブチ猫さん、や、カラスさん、
野鳩さん夫婦たちに、
ちゃんと伝わりますかねぇ …
毎日、毎日、
365日。寒い日、暑い日、
どんなに天気が悪くても、
この小さな庭の平和を守るために、
オカッピキ! な、彼は、
とても忙しそうです。
あら … 失礼!うっかり!
随分と長い間「彼」と
呼んでいました者は、
赤柴の「マモ太」です。
よく、柴犬のタイプは「キツネ顔」と
「タヌキ顔」とに分れますが、
このマモ太は、
その、タヌキ顔、で、それに加えて、
太めなカラダで、足も短いところから、
ちょっと、モタモタと動くので、
… たぬぅ… な …
ま・も・た … でして …
でも …
こんなに、「守」との、
「使命感」が強い …
オカッピキなカンジに成るなんて …
いまは、まだ、
騒がしいだけかもしれませんが、
これから、マモ太の、
管轄も広がっていきます。
そうです、マモ太は、
「オカッピキ」として、
皆のことを「 守っています!」
と、その、つもりのようです …
… アン ❣ …
―
『 早朝がた、
日本の南に上陸した台風は、
とてもはやいスピードで進み、
日本列島を縦断しております。
その影響からとても強い風や、
激しい雨になっております。
みなさん、
注意をして下さい 』
―
この家の皆が、
バタバタする朝、
誰もいないリビングのテレビの中で、
気象予報士さんが …
台風の様子を
慎重な見方で伝えています。
『 それでは、
外の様子を見てみましょう、
お天気カメラです。
あっ、あぶないですね、
こんなに風が強いのに、
犬を、柴犬ですかね、
散歩させています。
犬がカワイソウデスね、
飼い主さん気をつけて下さい。
早くお家に帰って下さいね … 』
―
この方は、とても正しく、
やさしい人です。
そうです、こんな日は、とても、
気をつけなければいけません。
これは …
困った事ですが ...
それでも …
どうしても … 外に …
往きたがってしまうのです …
タタタ …
タタッ!
…ぅぅぅぅ〰 …
…アン…
…アン!…
なので …
マモ太とお父さんは、
ビショビショ !!
ボロボロ !! で戻りました。
~ どうしたのぉ ―
お父さんが、テレビに?… ~
~ ゴメンナサイボクは、
視に行かなくちゃ!
お外が、心配だからぁ~!… ~
… ビショビショ …
… ボロボロ …
… そうですが、でも、
これは、『ダメ!』です。
今朝は、危ないので、お父さんが、
マモ太につき合いましたが …
こんな時には、当然のことですが、
マモ太だって、真っすぐに、前を
向いて歩けませんでした。
それほど!
危険な事がイッパイです!
こんな時には、
どこから、なにが、
飛んでくるのかわかりません。
本当に、困ったものです。
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