1.森の魔物

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書物を追っていた僕の両目は、木の上でぴたりと止まる。 あんぐりと口が開いて、体が石になったみたいに固まってしまった。 もそもそ、と、木が動いていた。 木が生えた地面ごと……。 違う。 それは、木が生えた、何かの生き物だった。 生きものは、のそのそと身じろぎしながら、僕の前に顔を見せた。 黒ずんだ口元、眠たそうな目。 「ナマケモノ……?」
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