幸せとは

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彼は、中学の同級生。 “元基”。 どうやら彼は学生の頃からずっと私に片想いをしていたらしく、既にバツ2で子持ちの私を愛してくれた。 もちろん梓のことだって、まるで自分の本当の娘のように可愛がってくれた。 とても優しくて、愛情深くて、前の夫とは違い家事だって沢山してくれる。 私が疲れて帰ってくると、マッサージをしてくれる。 そんな、愛に溢れた人だった。 顔だってそんなに悪くない。 だから、好きになった。 そんな一見完璧だと思われる彼。 そんな彼に一つだけ、重大な難点があった。 それは”まともに働いていない”というところ。 バイトをしても1ヶ月ほどでいつも辞めてしまう。 フリーター、というかむしろニート。 元基とは、同窓会で再会したことがきっかけだった。 しつこくアプローチされ、デートを重ね、プロポーズされた。 当時の私はなんとなく寂しくて、人肌恋しくて、彼の温もりがちょうどよかった。 梓のことだって可愛がってくれるし、もう私にはこの人しかいないと思ったのだ。 結婚して半年が過ぎた頃、元基は勤めていた印刷会社を退職した。 原因は彼曰く、上司からのパワハラらしい。 そしてそれから、ずっとニートのような生活をしていた。 私が彼を養っているようなものだった。
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