幸せとは

9/16
前へ
/20ページ
次へ
「元基、話がある」 仕事から帰ってきた私は、梓をお風呂に入れて上がってきた元基に言った。 「え、何?怖いんだけど!」 少しヘラヘラしながらそう言う元基に、私はもう愛情を持ってはいなかった。 「離婚したいの」 寝室に彼を呼び二人きりになった時、私は言った。 「…へ?りこん…?」 元基はまさか想像もしていなかったようで、口をぽかんと開けて突っ立っていた。 「うん。家事とか梓の面倒とか、色々やってくれて本当に助かってる。だけどさ…あんた、いつになったら仕事するの?私、さすがに我慢できないよ」 「…それは、ごめん。今のラーメン屋のバイトは、出来るだけ続けるようにするから…」 その言葉に、私はカチンときた。 「いやあんたさ、その歳でバイトって恥ずかしくないの?私があんたのこと養ってるようなもんじゃん!私だって、働きたくて働いてるわけじゃないの!3人で住んでたらその分食費や光熱費だってかかるんだよ。それ全部払ってるの、私なんだよ。こっちだって楽じゃないんだよ!」 「…でも、離婚って…」 少し泣きそうになりながらも、彼の目は怒りに震えていた。 そしてついに、元基は本性を現した。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加