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「お母さん、あのね」
久しぶりに実家に帰り、母親とビールを飲みながら私は言った。
「毎度事後報告で悪いんだけど…私、また離婚したの」
突然のカミングアウトに、母は一瞬驚きの顔を見せた。
しかしすぐに元の柔らかい表情に戻った。
「…もう、あんた!いい加減にしてよね」
娘からの、三度目の「離婚報告」。
お母さん。こんなどうしようもない娘でごめんね。
泣かれるか、それとも怒鳴られるか。
母の反応は、今回もそのどちらでもなかった。
「まぁ…モテる女は苦労するもんね。あんた、私に似て頑固だし」
そう言って、母は笑った。
「そうよ!私をこんなに美人に産んだお母さんのせいなんだからね!」
「ははっ、そうね。でも、もうちょっと男見る目を養わないとね。って、もう手遅れか」
「手遅れすぎるよ」
「梓は、苦労しないといいけどね。あの子も可愛いからさ、私に似て」
「はいはい」
そんな会話をしてくれる母に、私は心の底から感謝した。
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