16人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
離婚後初の一人旅に出た。
梓は母親に預けた。
旅先は温泉街。
一人で車を走らせ、一人で温泉に入った。
一人で料理を食べ、一人で酒を飲んだ。
旅館の部屋から眺めた景色は、とても綺麗だった。
ゆっくりと沈んでいく夕陽を眺めて私は思った。
ーーあぁ幸せだ、と。
側から見れば私は「可哀想」なのかもしれない。
だけど私は全然可哀想なんかじゃない。
むしろ幸せだ。
可愛い梓がいて、優しい母がいる。
今日も健康だし、離婚した解放感だってそう簡単に誰もが感じられるものじゃない。
結婚しているから幸せとは限らないし、離婚したから不幸だとも限らない。
私には私の「幸せ」のカタチがあるのだ。
いつかまた、運命の相手が現れて私を幸せにしてくれる。
そう信じ続ける。
そんなシンデレラコンプレックスの、痛いおばさんであり続ける。
明日も、晴れるといいな。
最初のコメントを投稿しよう!