言霊

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「うるさいなぁ!」なんて口では言いつつも、実際当の本人である私だってなんとなくそう感じていた。 私は10代の頃から、恋が長続きしない女だった。 原因は相手にもあるし、私にもあった。 「お母さん、私、結婚できる気がしないよー」 大学生の頃、家で母と晩酌をしながら私は冗談でそう言ったことがある。 「いつかは一緒に二世帯住宅に住みたいなぁ。だから美幸、優しい旦那さんを見つけるんだよ!あ、孫は二人くらい欲しいなぁ」 ビールを飲んで良い調子になった母が何気なく口にしたその発言がきっかけだった。 言われた瞬間、私は直感で「それは多分叶えられません。ゴメンナサイ…」と思った。 普通に結婚して、普通に子供を産んで、ずっと家族皆んなで仲良く暮らす。 そんな世間一般が考える”普通の幸せ”を叶える自信は全くなかった。
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