眠り

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駅舎は変わりは無かった。“あのホームだけ”が完全に孤立していただけのようだ。学校に行く気が失せていたので、少しの間駅舎を探検してみた。何か手がかりがほしい。 人通りは普段と変わらなかった。が、皆同じエスカレーターに乗る。自分も続いて乗ることにした。好奇心が勝ってしまった。 こんなにも長いエスカレーターがあっただろうか。私が思っていたより明るい空気が流れていた。あまりに今までが殺風景過ぎただけだと思っておきたい。 エスカレーターに一人乗る。他の人たちは皆、誰かと共にいる。独りの淋しさに心を浸けたくない。そう感じていた。 エスカレーターの終わりだろうか。明るいステージが見えてきた。人もたくさんいる。想像できないくらい。 「これ以降は次の会です。」 アナウンスが流れる。 やはりテーマパークだった。 ようやくその確信がついた。しかし、アトラクションにしてはおかしい。出口が無い。 わけのわからないまま何かが始まった。
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