Red Line

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私はとある田舎のM小学校に通う、小学5年生の杉浦彩羽(すぎうらあやは)と言います 今、私はグリーン教室に来ている 小学5年生になると 学生が自然と触れ合う事を目的としたグリーン教室という物があり、一日目は飯ごう炊さんに森林事業の研修、二日目は登山というプログラムが組まれた一泊二日の行事がある まぁ、生徒にとって日中の行事はオマケであり、本番は夜からなんだ 夜になると皆でお泊りという事もあって、その非日常感に生徒達のテンションは非常に高い。友達同士で楽しく談笑したり、カードゲームや枕投げなど、とにかく暴れ回った 消灯後は一部の生徒は就寝しているが、大半の者は全く気にする事なく灯りだけ消して会話を続けた 先生の見回りの時も、部屋の前まで来たら寝たフリをかまし、どこかへ行けば会話を再開した 気分が最高潮に乗った子供の体力とういう物は限界を知らないものだ こうして様々な話をして楽しんだ彼女達は、今は夏の夜という事もあったので、最終的に怖い話を皆で回していこうという事になった 輪を作って1人ずつ話をしていき、それをみんなで聞いていこうという流れだ 「……その老婆が振り返った顔には……無数の目玉がついてたんだって〜…」 「……」 「…怖くない?」 「全然怖くない」 「えぇ〜…」 「ま、まぁ…ありきたりではあるかな…」 「確かに」 「はぁ〜…そっか〜…」 「んー…誰かもっといい話、持ってる人いないの?」 「……」 3、4人話し終えるとどこかで聞いたような話しか皆持っていない事が大体分かってきた この日の為に準備してきたという者も中々いないだろうから…仕方がないと言えば仕方がなかった 「あっ…そう言えばウチのクラスって…陰陽師(おんみょうじ)いるじゃん。ほらっ、小室ちゃん」 「おっ…ホントだ」 「彼女ならどう?」 陰陽師ならば怪異関係の仕事だろうからそれなりの経験もあるだろうし、何かしらの持ちネタがあるに違いない。これは期待が大きい 部屋の中を見渡すと彼女が布団の中に入って就寝しているのを確認した と、言うわけで ぐっすり、スーピー、スーピー気持ちよさそうに寝息を立てながら熟睡していた小室繭美(こむろまゆみ)を無理矢理起こしてグループの輪に参加させた 「……眠い…」 「まぁまぁ、せっかく起きたんだし何か話してよ」 「…起きたんじゃなくて、起こされたような…」 「こ、細かい事はいいじゃん、ね?」 「…というか…みんな寝なくていいの?…明日半日くらい登山だって先生言ってたけど…」 「余裕余裕!」 「…その根拠は?」 「えーっと…特になし」 「よし…寝よう」 自分の布団に戻ろうとする小室 それをさせまいと輪の中の1人が彼女のパジャマの袖を掴んだ 「待って待って!このままじゃ不完全燃焼であたし達みんな眠れないの。だから一つだけ。持ちネタ一つだけでいいから話してくんない?」 深々とお願いをする同級生 周囲の者も懇願の眼差しを向けた 小室はそれに対し、ため息をついて口を開く 「じゃあ…話したらおとなしく寝てくれる?」 その言葉に皆嬉しそうに頷いた 小室はそれを見て「あまり期待しないでね…」と言いながら、声量は低いが、周囲に透き通るような声音で話し始めた 「これは去年の去年だから、一昨年の話か…えーと、だから…3年生の夏の…お盆の時期に陰陽術師の集まりがあって」 彼女は思い出すかのように話し始めた なるほど…どうやらこれから話すストーリーは彼女の実体験という訳だ 皆期待を膨らませて彼女の話に聞き入った
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