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そして、厄介なのは、二十年きっかり経たないと、コールドスリープが解除できない、ということなのだ。
政府の決定が「継続」である以上、「眠る子」は、また二十年コールドスリープを続けないといけなくなる。
新しいカプセルは政府の高官が訪ねて来た翌日には届いて、この部屋にセットされた。
私はコールドスリープから解放された「眠る子」を、隣にある新しいコールドスリープのカプセルに移さなければならない。
ピーピーピーと、短い電子音が鳴った。
その音が止んだとたん、「眠る子」が入っているカプセルのハッチが上下に開く。
ハッチの中から現れた「眠る子」は、二十年前と同じ姿だった。
「あれ……ここ、どこ?」
そうして。私の記憶と変わらない声で、そう呟く。
「目が覚めた?」
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