眠る子

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 まだ、七歳の彼が。まるで、重罪人のように扱われている。  だが、間違いなく、彼は「重罪人」として、世間では扱われているのだ。 『あの子だけが、悪いではない』と、父も言っていた。  たまたま、感染源になったのが、この私が「いー君」と呼んでいた幼馴染だっただけで。  シールドを付けなかったのは、子どもでも大人でもいた。  本当に、「たまたま」だったのに。  けれど、私は政府の決定には逆らえない。  確かに、政府の高官が言う通り、この瞬間に「いー君」を解放しても、彼は糾弾されるだけだろう。  そして、私もまたあの糾弾される立場になる。  いー君を「眠る子」にすることで保護した政府も、今回は動かないだろう。 「そっかあ……」
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