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今現在は、あれから別の感染症が流行っているのだ。
だがこの街の子ども達は、誰一人として、「眠る子」のように、シールドをはずしたりはしない。
子ども達は、皆シールドをはずせば、「眠る子」と同じようになってしまう、と思っているのだ。
それは、ある意味正しかった。
今回の感染症も飛沫感染を防げば、ほぼ感染することはない。
だから、シールドを付けて、人との接触を適切に行えば、感染は防げるのだ。
だけど。
シールドを付けることは、やはり暑苦しい。
正直、つけたくない子どもだって、いるだろう。
だが、この街には「眠る子」の像がある。もし悪ふざけでもシールドを外していたならば、「こんなふうになってしまうよ」という、悪いお手本が身近にあるのだ。
あの当時。
感染症は大流行していて、誰もがシールドを付けて行動していた。
悪化してしまえば死んでしまう可能性もあって、社会はぎすぎすしていた。
人は集まるな、移動はするな、シールドは必ず装着しろ。
そんな縛りがある中で。
経済はとたんに破綻傾向になり、街には失業者が溢れていた。
いつ、この状況が終わるのか。
終わりが見えない中で、たまたまシールドを付けていなかった「眠る子」が感染源となり、感染力が上がった「変異種」の感染が、爆発的に起こってしまったのだ。
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