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けれど、あれから二十年経って。
また、新たな感染症が発生して、大流行し始めたから。
人々は、「眠る子」のことを思い出した。
そして、今度こそ、あの時の手前勝手な感情から悲劇を起こすことがないように、彼の像を造ったのだ。
「時期尚早だな」
私の隣に立つ「調査員」は、「眠る子」の像の前にいる人達を見ながら、そう呟いた。
彼は、政府の高官の一人で、「眠る子」の保護を担当する人物の一人だった。
「彼にも、自分の人生を生きる権利があります」
その高官に対して、私はそう言葉を告げる。
「その彼が、健やかに今後の人生を生きるためには、今の世相は厳しすぎる。ここで世間が彼の「解放」を知ったら、また糾弾されるぞ」
「ですが……」
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