眠る子

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「もちろん、きちんと本部には報告をして、検討はする。だが、この見解は変わらないと思ってくれ」  彼の言葉に。私は、小さく嘆息した。  そうして。  数か月後に政府の方から私のところに届けられた通達は、「継続」の判断だった。  その知らせをネットで受け取った私は、ぎゅっと手を握りしめる。  だが、政府の通達が「継続」である以上、それを続けるしかなかった。  私は、椅子から立ち上がり、書類の棚の一部に手をかけた。  隠し扉になっているそれは、この病院では、医院長の私と、私の家族しか知らない秘密につながっていた。  暗証番号を押して、久々にその扉を開ける。  年に数回、メンテナンスのためにこの扉を開けて、私はこの部屋に入る。
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