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自動的に照明が付くこの部屋の中央には、小さいカプセルが置いてある。
空調は自動的に調節され、停電になっても自家発電で動くようになっているこの部屋は、「眠る子」がコールドスリープしている場所だった。
私の父は政府から依頼され、コールドスリープになった「眠る子」を……私の幼馴染を、預かったのだ。
当時。
感染症の流行で人手不足になり、閉院寸前まで行っていたこの病院にとって、政府の申し出は渡りに船だった。
この部屋の建設料と維持費を含めても、十分におつりがくる助成が、政府から私の病院には振り込まれている。
本来ならば。今日、この日が。
彼の、「解放」となる日だった。
現在での技術では、コールドスリープは、二十年が限界だった。
だから。
それを継続するとなると、もう一度コールドスリープをさせる必要があるのだ。
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