アプリ「クリエイトクリーチャー」

2/6
前へ
/10ページ
次へ
春奈は別に真面目だが、メイクに興味が無い訳でも、流行りに興味が無い訳ではない。アイドルのように注目されてみたい気持ちはあった。 だから動画配信サービスをしてみたり、アプリのクリエイトクリーチャーの存在も知ってはいた。 ただ彼女の正義感は他人を怪物に見立てる使い方には疑問を抱いていた。 そんなある日真尋は学校でメイクを直した。それも授業中に。 春奈の正義はそれを許せなかった。 「真尋ちゃん、授業中にメイクは駄目じゃない?」 「…。」 一瞬の凍りつく様な瞳。そして 「そうね、春奈ちゃん、気をつけるわ。」 真尋は笑顔で返した。 その日から真尋と春奈の対立は大きくなっていった。 クラスから徐々に孤立させられる春奈。 そしてある日登校するとある、印刷物が。 クリエイトクリーチャーで作られた歪んだ自分の顔だ。それも自分の正義感を馬鹿にする様にあちこちに。 「何これ!?本当に怪物(クリーチャー)ね!」 「…ひどい…、私をこんなふうに。」 「え?誰も、春奈ちゃんだなんて。…でも…似てるわねー。」 真尋は完全に見下していた。 自分が嫌で、周りが嫌で春奈はその次の日、学校に行かなかった。 その悲しみを怒りをぶつけ方が分からなくて動画配信の先に助けを求めたが、いつものリスナーも居ない。 春奈はアプリのクリエイトクリーチャーを開いた。 こんな醜いアプリなんか無ければ! 人を醜くするアプリなんか! そんな事を思いながら、画像をアップロードした。 真尋の画像を。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加