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隣の席の彼女
「おやすみ」
私はもう長い間その言葉を口に出すことをしていない。
それは中学1年生の秋の終わり頃からだったと思う。
私はクラスにも打ち解けて普通で楽しい中学校生活を送れていた。
その少し前にあった席替えで私は後ろから3番目、前からは4番目の席になった。
隣の席はおとなしくて、いつも仲良しの2人の女の子と静かに話している、背の小さな女の子になった。
最初の内は特に話したりする事もなかったのだが、私が教科書を忘れて席を近づけて見せて貰ったときから、少しづつ話すようになった。
そのとき、彼女が何だかとても見にくそうにしてるように感じて、私は
「ごめんね。見にくいよね。もっとそっちに教科書やっていいよ。」
そう申し訳なさそうに言った。
すると彼女は
「全然。〇〇君って優しいね。」
と今まで見たことがない、にこやかな表情で言った。
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