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カラン。黒マントの内側に吊り下げていたランタンが音を鳴らす。
小さなランタンで仕事用ではない。
夜道を照らすものだ。
今考えると、どうしてこのときにこんなことをしたのかわからない。
こんなことーー羊に対して鎮魂歌を捧げていた。
歌に合わせて木々がざわめく。風も吹いてきた。
羊の身体から魂が抜き出て、揺らぐ。
色は白い。動物も色を持っているんだな。
「っ!」
俺は今、無意識に羊を見下していなかったか?
同じ血を通わせた生き物なのに、人間より下だと決めつけていなかったか?
その人間すらも金の一部としてしか捉えていないのでは?
仕事だから、と感情を後回しに片づけていた。
それは命への冒涜。
師匠の言う通りだ。
命々屋には向いていないかもしれない。
でも。それでも!
羊の魂をランタンにくべた。
白は光。すべての色を混ぜたもの。すべての…。
この魂の中に多くの命を見た気がした。
命々屋としてやっていきたいか。
答えは見つかっていない。
俺がわかっているのはやめたくないことだけだ。
羊のこと。
終わることのない争いに身を投じなければならなかった者たち。
その命も羊とかわらないこと。
その不思議。全部、全部、全部。
この胸の内をさらけ出してしまいたい。
無性に師匠に会いたくなった。
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