犯罪日記

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「あいつが何で売春なんてやってるのか…理解したよ。あんな母親が一緒じゃまともな仕事にも就けない。僕は早くに両親を亡くして自分は不幸だと思っていたけど…あんな親ならいない方がマシだと思ったよ」 「スノーさんに同情しながら、あなたは何度も彼女を家に呼んだ。それは誘拐した少女とセックスさせるためだったんですね」 「ああ、そうだよ。ネックレスの事は訊かず、プレーを楽しんだんだ。スノーも女相手は初めてだったみたいで最初はどうしていいのか分かんなかったみたいだったけど、どんどん慣れていったよ。人間ってのは金のためなら何でもやるもんだな」 近藤が鼻で笑った。 野本の冷たい目が光る。 「なら、少女たちを誘拐せず、金で買った女たちにプレーさせればよかったんじゃないですか?」 「最初はそうしてたよ。だけどつまんなくなったんだ。金で買った女たちは演技をするからね。AVなら飽きるほど見た。だから演技をする女は要らないんだよ。それでわざわざ素人を誘拐したんだ」 野本は額に手を当て、ため息を吐いた。 これ以上、この男の話を聞くのは辛いだけだ。しかし、真実を知るためには訊かなくてはいけない。 すると、五十嵐が席を立ち、野本の肩に手を置いた。 「代わります」 野本は五十嵐の顔を見上げ、もう一度深いため息をついてから立ち上がった。 「すみません……」 聞こえるか聞こえないかの声でそう言い、五十嵐と席を交代した。
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