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「初めからあの靴を履いて家に侵入するつもりだったんですか?」
五十嵐が訊くと、近藤は眉間にしわを寄せながら首を傾げた。
「あんなに片付いてるとは思わなかったんだ。僕が知ってるスノーの自宅はごみ屋敷みたいで…とても人が住んでいるとは思えなかった。廃墟同然だったんだから。だけど…きれいになったとは言ってもあの汚かった部屋を一度でも見てしまったら靴を脱いで上がろうなんて思えない。それに、靴を脱ぐことで別の痕跡を残すことは防ぎたかったしね。汗からDNAが採取されたとか言われたら僕はすぐ逮捕される。そうでなくてもスノーの妊娠でDNAを採取されたばかりだったからね。だから靴を履いて家に入ったんだ」
五十嵐は、なるほど…と思いながら小さくため息を吐いた。
「スノーさんの家で何か見つけられましたか?」
その質問に近藤は不貞腐れた顔をしてため息を吐いた。
「…なんにも。あったのは家電や家具くらいだった。それ以外のものは捨てられたみたいで何にもなかった。探す手間も省けたよ。ネックレスを持って行ったのはスノーじゃないかもしれないと思った。もしも警察があのネックレスのことに気付いていたならまた僕のところに来ただろう?でも警察は来なかった。それに、もしかしたら他の小物と一緒にごみとして捨てられたのかもしれないと思ったんだ。それならそれでラッキーだ」
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