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この男は何も分かっていない。自分がやったことが犯罪だという事も理解していないし、これから自分がどうなるのかも理解していない。
これからは警察に監視されるだけでは済まない。社会全体から犯罪者として監視され続けるのだ。きっとまともな仕事には就けないだろう。それどころか、生きている間に刑務所を出る事すらできないかもしれない。喜んでいられるのも今の内だ。社会は犯罪者に対して冷たいのだから。
しかし、近藤のように自宅で仕事をし、顔も本名も晒さずネットオークションで金を稼いできた人間には社会の目など気にならないだろうか。
五十嵐は少女たちの写真を回収し、冷ややかな視線を近藤に向けた。
「そんなに有名になりたかったのか?犯罪者として」
五十嵐が言うと、近藤は首を傾げた。
「別に有名になりたかったわけじゃないけど…これで連日僕のニュースが報じられるだろう?社会が僕に注目する。面白いじゃないか?そう思わない?」
五十嵐は近藤の襟元を捕まえて顔を近づけた。
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