犯罪日記

18/21
前へ
/250ページ
次へ
――― 近藤の言った通り、テレビでは連日近藤の犯罪について取りざたされた。しかし、全ては想像だ。警察発表はごくわずかで、その情報から近藤がどういう人物か想像できるはずもなかった。 しかし、テレビではコメンテーターたちが分かったようなことを口にする。 『小児性愛者だったんでしょうね』 『最初は身代金目当てだったんじゃないでしょうか?』 想像するのは勝手だ。しかしそれが真実とは限らない。メディアは国民に間違った情報を植え付け、近藤がさも同情されるべき人間だったのではないかと報じた。 そしてメディアはもう一つの真実を知らないままニュースを報じていた。 月影雪という少女がこの事件に関わり、命を落としたことを……。 ニュースを見ていた彩羽がため息を吐きながらチャンネルを変えた。朝のワイドショーはどこも近藤のニュースを報じていた。 「嘘ばっかり報じやがって。何が小児性愛者だ!あいつは女の子同士の性行為を見るのが好きだったんだよ、バーカ!」 彩羽が毒づいて新聞をテーブルの上に叩きつけた。 架音と美乃梨がダイニングテーブルでご飯食べながらその様子を見守っている。 別の部屋では朱里が滝川へ帰る支度をしていた。 「世の中腐ってんな!」
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!

321人が本棚に入れています
本棚に追加