俺の娘が嫁に行く……

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「パパ! これ持って!」 駐車場に降りると娘ちゃんは俺に全荷物、カバンと水筒と手提げバックを預けニターと俺に笑顔を向けて、 「よういどん!」 不意打ち全力疾走をかます。駐車場から50m先の自分のげた箱がある玄関まで園庭を横切り、全力で走り抜けて行く。 残り20mくらいになった頃、俺は、娘ちゃんの真横に並んだ。 並走する彼女は、真剣な表情で走っていたが、横に並ばれたことに気がつくと、俺を見上げ、口を大きく開けて笑いながらゴールの玄関を目指して行く。 満面の笑顔の横を桜の花吹雪が一瞬、追い超して行った。 園庭の周りの満開の桜の花が、春のそよ風にゆられ花びらを散らし、始まったばかりの4月の晴れた冷たい風が吹く園庭で、俺たち二人の始まった新しい親子関係を祝福してくれているようだった。
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