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「新規オープン!昼寝カフェ!」
という看板に目を惹かれた。
畳が一面に敷き詰められたところでゆったりと過ごせるサービスだそうだ。
「働いている隙間に、少しお休みしませんカ。日本の人は働きすぎデス。このカフェは『仕事をしない』をコンセプトにしてます!」
若い外国人風の女性がチラシを配りながら話してくれた。
店内を覗き見ると店長と思しき男性が珈琲を淹れていた。
彼もまた外国人風の彫りの深い顔立ちをしていた。
額には汗が浮かんでいて、一人でコーヒーを大人数分用意しているようだ。
今は用事もあり入れないが、気になるので改めて訪問しよう。
営業時間は?と質問すると、
「はい、お疲れな皆さまに幅広く提供したく、店名にこだわらず、24時間オープンしてマス!」
なかなか流暢な日本語だ。
日本文化に馴染もうとしてきたのであろう。
ただ、気になった僕は彼女にもう1つだけ質問した。
彼女はハッとして、店長の元へ走っていった。
店長もハッとしていた。
僕は店内の二人に手を振って、その店を後にした。
後日、店に訪問すると、店のドアには「定休日」の札が貼ってあった。
窓はカーテンが閉じられていたが、隙間から店長と女性の2人が気持ち良さそうに寝転がっている姿が見えた。
残念でもあったが、ほっとした気持ちで、僕は営業車で仮眠を取ることにした。
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